昭和の風林史(昭和五十年四月十二日掲載分)

強烈逆襲可能 産地は端境現象

無いとは言えない値先限の一万七百円。あれば嬶質だが、これだけ弱い市場、必ず反騰する。

「花の山雨に終日静かなり 静堂」

見方にもよるが、大手亡は、すでに端境期現象と思う。

九月10日、49年産新穀手亡は四十三万八千俵。48年産十四万五千俵の合計六十八万三千俵が産地にあった。

その後、本年二月末現在で二十二万俵の移出検査を記録している。古品は一掃した勘定である。

農林省発表の生産から計算した出回り予想四十三万八千俵が動かないものだから、産地に二月末現在二十二、三万俵が残っていることになるが、過去の経験からいえば、基本になる数字の一割ないし一割五分は、どこかに消えているものだ。

その後、産地から手亡を引っ張って、今回相場崩壊のキッカケとなった山梨商事の七十車買い等を考えると、産地の手亡供給力は、まさしく〝俵読み〟の段階に入っているし、手亡は端境期現象といえそうだ。

そこで、これからの相場であるが、期近高の逆ザヤ現象が解消され、異常相場が正常相場になって、考え方も落ち着いてくるように思う。

値段としては先限の一万二千円割れ。これは大底圏である。ピービーンズの捨て場という考え方も、あまり行き過ぎた見方をすると、どうひっくり返るか判らない。

大局的に見るならばやはり極端に弱い人気の裏側が、おもてになる時期が必ず来ると思う。

ここのところは当然戻り売りが言われるだろう。

言わすだけ言わせ、売るだけ売らせればよいという心境で見て行きたい。

なぜ強気するか?。簡単である。窓あけて下げた窓を相場は埋めるからだ。

商品の価値としての手亡は安すぎるからだ。

そして、誰も彼もが弱い。判りやすい弱気論。そういうのが市場に充満すればその通りにならないのが相場である事を知っているからだ。

一種のケイ線の見方として、三月27日の安値を割ると、4日まで上げた分、八月限で(大阪)千二百三十円幅を下に突っ込むという考え。即ち八月限の一万六百九十円。九月限の一万七百三十円あたり、仮りにあったとしたら、九月限大台三ツ替わりになって、これを買いきれなければ相場するのをやめたほうがよい。そんな値は無いと思うが。

●編集部注
相場とは無関係だが、昭和五十年四月はザ・ピーナッツとキャロルが解散コンサートを行っている。

前者の二人と後者の一人は既に鬼籍に入った。

平成もまもなく三十路。昭和も遠くなりにけりだ。

【昭和五十年四月十一日小豆九月限大阪一万七二三〇円・一二〇円高/東京一万七一八〇円・変わらず】