精糖渡し物多し 師走市中値崩れ必至
精糖相場は頭打ちしている。今月の渡し物は三百枚を越えるかもしれぬ。来月の市中値崩れ必至。
「七五三の子を囲みをり家族寮 桂水」
円が叩かれている。イラン情勢の緊迫でその下げかたがきつい。半値押し地点の二百四十二円どころを素通りしたからには、三分の二押しの二百六十四円を見ておかなければなるまい。
円安―とくれば国内上場商品ではストレートにゴム高である。
まして、石油やフレートに絡めば合成ゴムのコスト高。しかも、イランに対するアメリカの出方次第で戦略物資のゴム価格は神経質になる。
そのうえに、タイとカンボジア、そしてベトナムの国境が雨期明けで緊迫の度を高めている。日本の新聞は、この事を余り書かないが、タイ国の新聞は大きな扱いである。
為替、フレートに敏感なのはゴムだけではない。輸入大豆も、大きな影響を受ける。
週明け輸大相場は前週末の買い気を持ち越して期近限月から高い。
市場要因は、圧迫すると見ていた中国大豆が一月積みまで手当てが出来ない。定期に渡すものがない―という事である。しかし値段が上がれば製油メーカーからの逆流もある。あるいは御堂筋の小鬼は、サイロから抜き出して袋詰めにする準備を進めているとも神戸情報として流れている。どんぶりは、今月も受ける姿勢―と市場は見ていて、売り安心気味だった大衆筋は、やや狼狽している。
売るなら大阪先限五千百円あたりからでもよいが、IOM一~三月積み成約が咋年同期比八万㌧ほど少ない現在、人気次第、シカゴ次第ではもう一段の上値を見にいく事もあろう。
一方、精糖のほうは大阪の倉庫に今月の渡し物が充満して御堂筋は果して三百枚以上と予測される渡し物を受けきるのか。たとえ受けても来月は、これはもう現物市場の値崩れはひどいものになろうという心配もある。
もとより海外市況や為替、フレートに絡むことではあるが、国内実勢からこれだけ、かけ離れては、大投機の思惑の時期が早や過ぎた。今年は北海道のビートも大豊作で収穫期を終ろうとしている。
投機筋にとって砂糖は決して甘いものではない。
小豆のほうは手さぐりで底値をさぐる格好である。だが期近事情が、いまひとつ軟弱要因を含むため、期近限月が、ガチンと底値を固めない以上、強気しても面白くない。
●編集部註
生産地相場と消費地相場は違う。後者はここで指摘されているように外部要因の影響を多分に受けやすい。前者はプレイヤーが限られていて面白くない。面白くないゲームに人が集まらなくなるのは自明の理である。