昭和の風林史(昭和五四年十一月十五日掲載分)

輸大も警戒水域 精糖来月しんどい

円安もこのあたりで歯止めがかかろう。さしものゴムも天井みたいだ。輸大も売り場にきている。

「葛城を背に村々の冬構 木小路」

組織営業が粗・精糖相場を、お客さんにすすめた。もちろん買いである。相場上昇に伴って顧客は厖大な利益をあげた。利乗り玉の利食い。そして更に買い玉をふやす買い乗せ。回転が利き手数料収入は増大するし、お客はニコニコ顔で、なによりなのだが、ダミー会社が、この買いに対抗していたら食われた事だろう。

粗・精糖の利食い資金を営業は輸入大豆戦線に移動きせた。

これまた顧客は厖大な利益をあげた。もしダミー会社が逆のポジションだったら大変な事である。

こうなったら、お客さんは面白くてたまらない。気も大きくなっている。

利食いしては買い玉をふくらませていく。

そして、相場は、行き着く値に来て、ストトンと値を下げる。高値で、ふくらむだけふくらんだ玉は追い証攻めで、結局、楽しい思いをしただけで、このゲームは終る。

輸大相場は、だいたい、いい水準にきて、このあたりからの売りは、あと高ければ売り上がりの出来る人なら売って面白いところである。

円安のほうも、一応このあたりで落ち着きそうである。

さしものゴム相場も『これ以上は?』という水準だし相場つきだ。ゴムの線型は頭を打った格好だ。

精糖相場のほうは現物がないわけではない。大阪期近は、渡し物が倉庫に一杯。値は荷を呼んで、今月受けても、受けなくても来月は値崩れ必至。

海外高についていけないところが、この精糖相場の泣きどころである。

海外が反落に転ずれば、日柄を食った相場だし、実勢遊離の仕手相場だけに国内はS安もあろう。

ぼつぼつ小豆のほうに人気がまわってきてもよい時分である。

国際商品は、一応円安に歯止めがかかると、いずれも値が伸びきって、風当りのきついところにあるから、これまでの反動が出よう。

そうなると、乾繭、生糸、小豆という、国内商品に投機資金が流れ込む。

小豆の期近は重たくて、これが全般の足を引っ張る格好だが、先限三千円割れでもあれば買ってみたいところである。

今のところ自社玉は圧倒的な売りであるから、まだぐずつく地合で、すぐ買っても駄目だろうが、安値は売れない相場になった。

●編集部註
相場は、裏の裏の裏を行く。何周も頭の中を回って回って、逆に行ってしまうケースが少なくない。

商品相場は全般的に1980年に天井をつけている相場が多い。〝さしものゴム相場〟も例外ではなかった。12月頭に急落した事はしたが、結局1週間しかもたなかった。