輸大市場の整備 東穀IOM別建へ
穀取は輸大市場の欠陥を修正し、市場機能が国際性に順応出来るよう目下鋭意努力中である。
「口に出てわが足いそぐ初しぐれ 波郷」
円安に国際商品はふりまわされている。
円はスミソニアン三百八円の安値から53年10月31日の高値百七十六円五銭までの上げ幅百三十二円に対して半値押しが二百四十二円に当る。
日本の政治の空白も新内閣成立で格好だけはついたから、円安も、一応目先的には半値押し二百四十二円を中心とした動きになるのではないかと思うが、石油に弱い日本だけに、イラン情勢の展開によっては、円暴落に歯止めが、かからないかもしれない。
その場合だと三分の二押しの二百六十四円。
きわめて悲観的な予測をたてている証券エコノミストは、結局は三百八円。全値戻しであろうと、心胆を寒からしめる見方をするが、そのような値が付かないとは誰も断言出来ない。
円安は、輸入商品を直撃する。
また、石油が過熱するとフレートが暴騰する。
輸入商品の採算がグングン上昇する。
商品市場は海外市況に連動する輸入商品と、あまりかかわりのない商品とで、動き方も、出来高も、まったく違ったものになる。
伝え聞くところ東京穀取は、IOM輸入大豆の別建てを検討中という。目下、東穀、名穀の輸大市場の標準品は、中国大豆で、IOMは供用品である。
大阪市場はIOMを標準品として中国大豆を供用品にしている。
この標準品の違いはそれぞれの取引所における地域的現物流通の背景によるものであるが、東穀と大穀の標準品の違いは種々な問題が発生する。(『商品先物市場』11月号・商取ノート輸入大豆市場振興のため標準品調整を急げ=に詳細)。
そのような事から、東穀取は、標準品を中国産とする大豆市場と、IOMを標準品とする市場との別建てを事務局レベルで検討してきた。
いまや大手亡豆の市場は上場商品としての適合性を欠き、市場は機能していない。ゆくゆくは小豆市場も輸入小豆と道産小豆の別建てという姿でしか存在出来なくなるだろう。
その時、穀取市場は、大豆三品を主たる商品として存在せざるを得ない。そのためには、大豆市場の欠陥を逐次修正して国際化へ順応せざるを得ない。東穀のIOM別建ては主務省も十分理解出来ていると聞く。結構な事である。
●編集部註
江戸時代は「豪農」や本間宗久のような「豪商」が米相場に参加していた。シカゴ市場も同様であったという。
昭和のこの頃、豪農や豪商ではなくホクレンが穀物相場に参加していた。
この違いが、存外大きかったのではないか。