昭和の風林史(昭和五四年十月二七日掲載分)

ライフル連隊 小豆はホクレン讃歌

輸大市場は秋陣営の霜の色。荒城の月だ。小豆ホクレン讃歌。砂糖はマーチ・ライフル連隊。

「女湯もひとりの音の山の秋 爽雨」

『新説邪馬台国』の本を出されてからの清水正紀氏の業界における行動言語が、鋭角的になっていくように感じる。

先に通産省の細川室長と激論し、また名古屋での「穀協連」会合における発言といい、そしてペンネームXで書かれている(東京商品新聞10・23商取最前線)関西穀取二常務に対する〝大義を忘却し〟という激しい攻撃などを見ていると、清水氏は、業界の危機に際しなにかをやらなければ―という殺気のようなものを持って斬人斬馬だ。

業界スケジュールとしてはストップ時のバイカイ規制緩和、小豆の売買単位引き上げ、新規20枚制限の緩和等、早急に実現しなければならない問題をかかえている。

清水氏は今年の暮時分に予定されている全協連会長への復帰に照準を合せ、意欲を燃やしているふうにも業界は受け取っている。

全協連会長復帰という問題は清水氏にとって〝二沈三浮〟(二回沈んで三回浮く)いわばケイ線でいうW底の形成で大直り、若い相場となる。

これに対して業界人の多くは『清水氏の復帰は、やむを得ないが、業界はこれでまた二、三年遠まわりをすることになろう』と、きわめてリアルな目で眺めている。言うならば、対主務省との折衝に種々摩擦を生ずる事を懸念するのである。

主務省筋は、折りにふれて〝業界には人がいない、人がいない〟と言う。この事は暗に、もう清水さんの時代ではない―と、ほのめかしているのである。

しかし業界には清水氏しか表面に出ない。ここのところが商取業界の不幸であり、更に言えば清水正紀の不幸である。

さて相場のほうは海外高を映して精糖がストップ高。海外事情から見て、またケイ線的にも、そして取組み内部要因(仕手化)などから、超強気は精糖先限二百四十円を見ている。相場の人気とは恐ろしいもので、まだこの相場、若いということが強気の意を強くしている。

小豆のほうは、ホクレンの存在を強く印象づけた。先限の三千円抵抗ラインを割れば六月27日の二千円どころ。ともあれ強力な買い方不在の市場であるから、人気というものはつかない。輸大市場は土井晩翠作詞「荒城の月」である。

●編集部註
 古代史は麻薬である。 

 誤解を恐れず言うと、平安以降ならどれだけの文献を読んだかで勝敗が決まるところがあるが、古代史は文献も少なく、推理に頼らなければならない面がある。

 よって碩学泰斗も、横丁の歴史好きも、同じフィールドでの勝負になるのだ。