国際投機時代へ 知識と理解度必要
国際投機筋の動きを理解せずに商品相場を考える事が出来ない時代になった。
「山暮れて紅葉の紅を奪ひけり 蕪村」
精糖市場が人気化しているから、砂糖の問い合せが編集局に殺到している。当社には松尾豊さんという、もと大阪砂糖卸協同組合の書記長をしていた砂糟の専門家がいる。
小生も砂糖のメカニズムについて教えを受ける。
砂糖相場については、当社で発行している『商品先物市場』九月号の〝国際砂糖相場回復の条件〟が参考になろう。三井物産の砂糖部部長代理の池田昌之氏が書かれたものだ。
また六月号の〝砂糖買い付けから決済まで〟も参考資料になるし、毎号、最低限必要の砂糖に関する基礎データや知識は固定頁に満載してある。
今回の砂糖相場の狂騰は、世界の砂糖需給の改善もさる事ながら、やはり国際投機資金の流れが見逃せない。
手前味噌になるが『商品先物市場』に連載の〝世界の投機家〟は、国際投機資金が、どのように動いているかを詳しく書いてある。七月号の〝円投機の実際と理論〟などは、為替投機がどんなふうに仕組まれているかが、きわめて具体的に書かれていた。
また、ニューヨークやシカゴの投機筋の活動パターンについては七月号の〝NY綿花市場における投機筋の行動に対する考察〟が、綿花に限らず、投機筋の動きを知るうえにおいて参考になった。
九月号の〝銀・需給と価格動向〟。十一月号の〝金価格暴騰の背景〟は、三井物産の非鉄金属第三部・野間和彦部長代理が執筆されたものだが、香港でも、台北でもこの記事は高い評価を受けた。国際投機家の活動ぶりと、金、銀の世界の需給観、そして相場の動きが専門家の目で、とらえられている。
このように、砂糖相場が激動しているからといって砂糖だけを見るのではなく、そのバックの投機筋の動きを掴まなければ、ゴムの相場でも大豆でも、大きな流れが判らない。
はからずも当社で発行している『商品先物市場』の利用の仕方、読み方についての解説になったが、この雑誌の編集は、そういう海外市場における投機というものをタテ軸に、個々の商品の需給、基礎データを横軸にして、思考水準の程度の高いビジネスマン、投機筋、当業関係者向けに発行し、昨今きわめて高い評価を受けるようになった。
●編集部註
平成の御代に、あえてこの時代の文章を掲載しているのは、時代の節目で相場はどう動いたか、リアルタイムで、人々はどういう考えを持って動いていたかを改めて知ってほしい、という思いから来ている。
ボルカーショックやハント兄弟の買い占め等、この時代の金融市場は大きく揺れ動いていた。