昭和の風林史(昭和四七年一月三十一日掲載分)

決然売り断行 ようやく暴落へ

小豆相場の雲行きがあやしくなってきた。かなりきつい下げ場面にはいるようだ。決然売り。

「帰り来しわが家の門や日脚伸ぶ 宗作」

週末は東京では土井、大阪では西山氏売りの大石が踏んでいた。この踏みに向かって太平洋、丸梅、大阪では松亀、和歌山、脇田などが利食い。

相場もようやく先が見えたようだ。商社筋によると数日来、香港経由で中国小豆の商談が四、五百㌧契約されたようだ。買い付けたのは三晶系で百七十三~百八十八ポンド(天津)にプレミアム三ポンドを上乗せしたようだ。これは昨年秋、香港筋が交易会で買い付けた手持ち在庫を処分したものらしい。

ところで、前週後半(納会後)かなりの煎(い)れが出た。市場人気も、にわかに強くなり一万六千円一万七千円が言われるようになった。

押し目らしい押し目なしで棒に立った相場だけに、このあたりで五、七百円の押し目を構成してもよいという空気だが、雲行きは、押し目などというものではなく、月末、新ポにかけて大崩に直結しそうである。

週明けは、目先筋の利食い急ぎになりそうだ。

線型も、典型的な頭打ちの格好となった。土曜の引け味では、月曜、あるいは夜放れ安を思わせるのであった。

東京市場は先二本を意識的に陽動した形跡もあるが、満れば欠くるは世のならい。一杯一杯買い上げた相場は、どれほど支えようと勝手に崩れるものである。

さて、月曜の相場を考えてみよう。

(週末の引けから)百円~百五十円の上寄り後、下げるようなら新ポから棒下げにはいる。

(週末の引けから)下放れて安寄りするようなら、あと小戻しても大下げにつながる。この小戻し場面は判りやすい絶好の売り場になる。

(週末の引け)と同値に寄るようなら、ある程度買い方の突き上げ工作もあろうが新ポ安につながってしまう。

この下げは、押し目でなく千五百丁安。一万四千円割れに折れ込んでいくと見る。

そして悪材料が次々と出現するだろう。下げに拍車をかけることになるし買い方の利食い急ぎと、押し目買いが交差するだろう。

●編集部注
海外の投資銀行で、長年ファンドマネージャーとして活躍してきた人間から聞いた話。

彼は石部金吉揃いの銀行内で柔軟な対応が求められる相場師だが、部下は銀行員の中から選ぶ。

では、どんな人物をリクルートするのか。

真っ先に「論理的に相場を考える人物」を引っ張ってくるのだという。

では〝論理的に相場を考える〟とは何か。今日の記事がその好例だ。

相場の当たり外れは全く関係ないのだという。

【昭和四七年一月二九日小豆六月限大阪二六〇円安/東京一五〇円安】