昭和の風林史(昭和四七年一月二十四日掲載分)

暴落の兆候!! 今週棒下げ必至

相場は戻りのサイクルを終了した。恐らく今週は棒に下げるだろう。この相場の下値は深い。

「水鳥の水押す胸に春近し 里子」

週末の商いは森閑としたものであったが線型は今週の暴落を秘めたものである。

非情に微妙な引けかたである。

産地の先限が六千円を付けた。一本一本の線を読み込んでいけば、産地の相場は、かなりの無理が見えてくる。いうなら線を〝つくる〟。つくられた線は必ずそのとがめが出てくる。

一見、実に強そうに見える相場でも、内実は空虚なものであることが、うかがえるのだ。

筆者は、この小豆相場のキツイ反騰を、まったく怖れない。これは狐が化(ば)かしているだけで、化けの皮は自然にはがれる。しかし、それはそれで一局の相場であった。

先行き大暴落と見る。

大阪差期限の一万二千九百円(12日安値)はもちろん止まる値段にはならないと思っている。

なにがどうだから―ではない。相場は相場に聞けである。

線が、ものを言いかけてくる。相場の基調は決して直っていないことを今週の相場で思い知らされるような気がする。これは相場記者の〝勘〟である。

前週金曜(21日)の線は戻り一杯最後の力をふり絞った。すでに19日と18日の相場で自律戻しは終わっているのである。あとは非情に人為的というか、なにかを特に意識した相場になって、そして先週の土曜日に、あきらかに力が抜けてしまった。

今週は、週明けから夜放れしてくる可能性さえあるし、週前半に五、七百円安地点まで棒を落とす相場だと見る。

読者は、その裏付けが①踏み(イレ)一巡②一月末の在庫増傾向③輸入小豆の再契約活発化のキザシ④そして期近限月を陽動した筋の力の限界⑤納会―というそれぞれの現象からなる軟化を目(ま)のあたりに見ることであろう。

この相場は戻した幅(千三百円)の倍落とし。すなわち一万二千九百円安値地点から、千三百円安をして一万一千六百あたりを付けることになるだろう。

●編集部注
 半値八掛け二割引―。百円なら三十二円、約三割。この〝三割〟が重要。

 トレンド不変なら、相場は三割が修正幅の基本。そこから元に戻る、と昔教わった。黄金分割でも38・2%は重要。何かと三は重要な数字とされる。

 クリスマスイヴを高値に小正月手前まで下げた小豆は、この時三割どころか半値近く戻っている。

 これは何かある―、と考えるのが〝相場脳〟。但し方向感は人それぞれ…。

 〝夜放れ〟する幻影は共通しているかもしれぬが。

【昭和四七年一月二十二日小豆六月限大阪二〇円安/東京六〇円高】