昭和の風林史(昭和四七年一月十三日掲載分)

売り方ハゲ鷹 死臭に上空舞う

崩れていく相場に追い打ちかけて、弱気を書くのは、あと味の悪いものだが、やはり相場は下だ。

「よき水の灘の西郷寒づくり 非文」

大正八年の米相場は続騰また続騰、遂には米騒動にまで発展した。

その当時のコメ相場の月棒を筆者は、昨年の小豆相場の参考にした。時代は変われど、大相場の足取り線型は不変である。

米相場が高値圏で四カ月〝なぐれ〟て、大天井したあとの下げ足が、まったく現在までの小豆の崩れ足と同型である。

長陰線二段下げ、三段止めである。山鹿流の陣太鼓とは違う。

三、四、五月と大崩れして、六月崩しのそれは壮烈。戻しておいて八、九、十、十一、十二月まで基調は陽転せず石当たり52円69銭の相場が暮れには半値以下の23円10銭になった。

実にその下げ九カ月になんなんとする。

そのケイ線と現在の小豆の線とを比べて、上げかたも同じであったが、下げも非常に似ていると思う。

小豆も二段下げ三段止めになりそうで、初段の下げ六千丁。二段下げ六千丁。そして三段下げは小さく、ゆるく、底入れとなるのではなかろうか。

現在は二段下げの最中である。

二段下げの起点を(大阪)一万六千九百五十円とする。そこから六千円下げである。北京商談。春の交易会。台湾小豆。コロンビア小豆。取り組み悪―などの背景を計算すればヘタすると六月時分まで尾を引くのではないかと、寒気がしてくる。二段下げ三段止めは甲州流軍学である。

その時分には買い方のほとんどは取り組み表から消えているかもしれない。芒々尋ね難し。

本来いうと、今年の北海道は再び不作型である。三位の伝、甲月秘法によれば四十七年は甲月回りが、弥生3月。高回り安回りに当たっている。大下げもあるかわり、そのあとは大上げになるとされている。四十五年は七月甲月で上げ相場。四十六年が五月甲月で上げ相場であった。

三木秘伝は旧二月、三月、四月と、きのと巳、きのと亥、きのえ辰と三カ月続けば大風、今年がその年回りになるし。二百十日より三日目に酉の日あればこの年大風吹くとある。今年は風の被害が出る年だ。

●編集部注

平成の現在、既に結果がわかっているので、ご興味のある方はチャートをご覧戴きたいが、凄まじい大局分析であった。

二段下げという線形も、昭和四六年から見ると綺麗に出ている。

しかしそれで儲かるとは限らない。人は、途中でつい変心してしまう。

【昭和四七年一月十二日小豆六月限大阪二九〇円安/東京一一〇円安】