昭和の風林史(昭和四七年九月二十八日掲載分)

手亡に弾みが いきついた小豆

久しぶりの高納会である。何かホッとしたような気分が漂う。小豆も底値確認まで今一歩か。

二十六日の大引けで東京小豆当限が六千七百円、手亡先限が六千八百八十円。

名古屋の小豆の当限が六千九百三十円、手亡先限が六千九百六十円。
二十七日は寄り付きで大阪小豆が六千八百五十円、手亡が六千九百八十円。三市場とも限月は異なるが手亡の値段が小豆を上回った。

来月五日は大阪穀取開所二十周年。十一日は東京穀取の開所二十周年だ。

手亡相場が小豆相場を上回ったことこの二十年間にはあったが、少なくともここ数年間にはなかったことである。

まさしく小豆相場も陰の極、いわゆる底値圏に入ったように思われる。

これに敬意を示したのか、それともマバラ売りが多かったためか、三市場とも高納会となった。三カ月ぶりの高納会であった。

また手亡も、このところ軟弱な小豆相場に引きずられなかっただけに各限月とも高く、二月限は新高値へと進み、先限引継ぎ線も申し分のない足取りである。

おりからの快適な秋晴れの空と相場を眺めていると穀物相場もこれで底を打ったのではないかとさえ思われるぐらいだ。

そういえば台湾小豆はこれまでほどには入らない。商談で値があわないのが主な原因であるが、現在の日中関係の進展ぐあいからみて、近い将来台湾との国交断絶の懸念のあることも影響しているらしい。

またホクレンが小豆相場に最低価格を設けることや輸入品の格差をもっと広げるように要望したとも伝えられている。

落潮しきりであった小豆ではあるが、どうにか止まるところにきたか、それとも近づいてきたように思える。

もちろん、このハナ四~五百円も戻れば産地のつなぎや戻り待ちの軟派の売り物が控えているから、またしても、売られるだろうが、下値が浅いとなれば最大需要期の年末を控えて実需筋も触手をだしてくる。「高くならなくてもよい。動いてさえいてくれれば」これが業界や投機家の偽らざる心境だ。

小豆に今やとって代わる勢いを示しているのが手亡だ。七千五百円以上はピービーンズが入ってくるとタカをくくっていると意外高の場面があろう。とにかく相場は変わりつつある。

●編集部注
 相場は悲観で生まれ、懐疑で育つといわれる。

 行間から、疑心暗鬼に陥りつつ、相場をつついている相場師の方々の動きが目に浮かぶようだ。

 小豆相場は間もなく鍋の底から側面に移動する。

【昭和四七年九月二七日小豆二月限大阪七九五〇円・九〇円高/東京七九四〇円・九〇円高】