昭和の風林史(昭和四七年二月二三日掲載分)

大暴落の運命 供給面急速緩和

この小豆は崩れがつくと二千丁棒落としになる。一月12日の安値は切る。売りっぱなしでよい。

「畝咲きのまま雛菊の売られけり 淡嵩」

北京商談による成約は、結局旧正月の直前に四千㌧、旧正月明けに三千㌧、合計七千㌧という予想外のジャンボ成約となった。

これで中国小豆の46豆類年度(46・10→47・9)の成約数量は秋の交易会二万㌧と合わせて二万七千㌧となった。しかも台湾、韓国小豆が入荷している。

中国小豆…二七、〇〇〇㌧

韓国小豆… 六、〇〇〇㌧

台湾小豆… 四、〇〇〇㌧

合計  …三七、〇〇〇㌧

このうち

一月末現在入荷

(11、12月通関分)

一一、八〇八㌧

一月入船分

四、〇〇〇㌧

残り二一、〇〇〇㌧が五月までに到着。

過去の実績は41豆類年度に年間四万七千七百四十㌧の小豆の大量輸入があったが、今度のように五カ月間で三万七千㌧もの契約を見たことはなかった。

しかも中国側は幾らでも売り応じる構えのようである。

そして春の交易会も控えていることから先行き小豆の供給面は、明らかに緩和の方向へ進む。

今回の北京商談でも各商社のピッドを全量受ける態度であったという。外貨のワクや国内相場の低落がなければ少なくとも一万㌧の成約になっただろうと商社筋は見ている。

恐らく春の交易会では値段を下げてくるだろう。各商社とも張るの交易会は大量成約必至と見ている。

従ってこの小豆相場は崩れに移れば一万四千円割れはもちろん、一万三千円以下のものであることは判然としている。

にもかかわらず、なぜ崩れないのか。誰でも不思議に思うところだ。

筆者は、大崩れの前兆と思う。

商いが極端に細くなっている。

買い方が五枚、十枚の玉を出しても商いが薄いから百五十円、二百円高をする市場だ。

売り方は、仕手連合が買い疲れ、そして現物がだぶつくのを待っている格好である。

売り込めば、連合赤豆軍は、強引にひねりあげてくる。

彼らの疲労を遠まきにして待つのが賢明策であることを市場は知っているのだ。

彼らにしても、いつまでも、今のような状況で居すわるわけにはいくまい。

●編集部注

 国内ではあさま山荘事件の話題で盛り上がっているが、この頃ニクソン大統領が訪中している。 

 日中共同声明が調印される約7カ月前の話だ。

【昭和四七年二月二二日小豆七月限大阪二九〇円安/東京二四〇円安】