昭和の風林史(昭和四七年二月二六日掲載分)

大暴落の納会 あっという間に

この一年間には見られなかった暴落納会となった。戻せば売りたいが突っ込み売りはさけたい。

予想外の大暴落納会となった。

渡し物が多かったというよりは先安不安からマバラの渡し物が小積んだのと、実需筋も同じく先安を見越して見送ったのが原因。

仕手筋は予定数だけは受けたが、これまでのように買い支えたり、買い増したりはしなかった。

だから仕手崩れとはいえないのではないか。

むしろ先日の高値を猛烈に買った静岡筋が二、三日前から投げてきたのを静観している形。

静岡筋の買いは全国各地で五千枚もあったといわれている。これで全部投げきったかどうか。これが今後の相場のポイントになるだろう。

とにかく、これで二月十二日の戻り新値が過去一年間の長期の上げ相場の二番天井となったことは確認してよいだろう。

今年一月十二日の一万三千円割れからちょうど一カ月間、先限で四千円幅の上げもきつかったが、それ以上にこの下げもきつい。これでS安三回(途中S安に近い日が一回あった)である。

さて、買い方が静観しているのに対して、これで勢いを取り戻した売り方は、需給緩和という大きい力を背景に当然このハナ売り叩いてくることだろう。そうなると一月の安値が底値であったかどうか、自信が持てなくなった買い方の投げが投げを呼んで、総投げ場面が再び現出する可能性も出てくる。

ところで今度の下げの特徴は旧正月以降、中共が積極的に売り物を出してきたのにその時は反応がなく、それ以降、これという新しい材料が出ないままにここへきて急落を演じてきたことだ。

上げる時も狐につままれた相場のように思われたが下げる時も全く同じ感じである。

戻れば当然売りだがこのまま下値を売ってよいかどうか。

すでに相場は中共小豆や台湾小豆の輸入原価を大きく割っている。これは相手方が大幅に値下げに応じてこない以上、契約はできるはずがない。

安値では売り応じないのはこの一月中にイヤというほどわれわれは見てきた。

日本の相場が下がったからといって、あわてて売ってくるような国ではないだけに需給見通しも厄介だ。

まして先限は天候相場限月である。いちばん波乱含みの時期。

このさき相場は買い方の出方如何にかかってくると思われるが、突っ込み売りはつつしみたいところ。

●編集部注

相場は呼吸する。買い玉がなければ、売りもできない。至極当然の話。

【昭和四七年二月二五日小豆七月限大阪七〇〇円安/東京七〇〇円安】