他商品に移る 八百長に失望し
だんだん小豆相場のカラクリが知れわたって、馬鹿馬鹿しいから近寄らなくなる人が多い。
「水田一枚天地返へしの春寒し 八重桜」
ひと握りの仕事師が小豆市場をわがもの顔に牛耳っている。
心ある人々は、苦々(にがにが)しく思っている。
手口は、見えすいている。これを価格操作といわなければ、他に価格操作とは、どういうものを指して言うのだろうか。
大衆は、本能的に小豆相場に近寄らない。そして毛糸相場に熱中する。当分は綿糸と毛糸が人気の中心になるだろう。そして仕手介入の人絹糸の動向からも目が離せない。
毛糸は、これだけ大衆人気が集中し、しかもこれに向かって天下の林紡が売るという大取り組み。大相場の様相は、充分うかがえよう。
陰湿で、どす黒い遺恨が、からみついた小豆など、さっぱり見限って、大手専業取引員は、毛糸相場に投機の場を求めるのである。
見てみよ、小豆の手口を。脇田→乙部→山三→広田→松亀→和歌山→マルモト。すべて一本の線である。
東京市場で誰も相手にしなくなりつつあることから陰湿で、どす黒い遺恨相場の主(ぬし)は、大阪市場に仕事の場を求め、これが売ったり買ったり、回したりで、手数料奉公と、コスト高の出血売買に血迷っている。
ひと握りの小豆の策動グループは、穀物相場を〝カラクリさいころ〟の賭博場にしてしまい、仲間内によるガン付け札の八百長コイコイで日がな一日を過ごしている。
今の小豆相場は、はっきり申してインチキである。価格操作防止委員会はこういう時にこそカラクリを調査すべきだ。
すでに小豆は天井している。しかし、だからとこれを売ると、八百長グループが強引に煽りに出る。彼らは組織的であるから、これに立ち向かうには、唯一の方法として相手にしないことである。策動筋を孤立させてしまうしかない。いかに巧妙な作戦をもってしても誰も相手にしなければ立ち枯れである。
真に穀物市場を考える良識派が、すべて傍観者の権利を行使すれば、策動筋は根なし草になるだろう。
すでに、ひと握りのこれらグループは立ち枯れの気配を濃くしている。相場は明らかに末期段階であるがあえて逆らうことはない。天、定まって天は人に勝つのが理である。
●編集部註
今回、風林火山の〝火〟の面が前面に出た。怒りの熱が、行間から伝わる。
ただしこの文章、ブラックジャーナリズムでなく、義憤から来ている。ゆすりたかり目当ての難癖であれば、もっと早くに連載どころか、新聞自体がなくなっていただろう。
これからしばらく、熱い文章が続く事になる。
【昭和四七年二月十日小豆七月限大阪四八〇円高/東京四三〇円高】