昭和の風林史(昭和四七年二月十五日掲載分)

無理した反動 四千円割れ必至

契約の量もさることながら、小豆は明らかに天井した。買い方は抵抗しようが流れが変わった。

「あてなしに行かば行かれて畦青む ゆう二」

例の一月12日からちょうど一カ月過ぎた二月12日、小豆相場は戻り天井を打った。

六月限一代で見ると三千九百六十円幅を棒に立てた壮烈な巻き返しであった。これを当限で見ると、やはり三千九百四十円幅の反騰である。高値二万一千三百六十円から一万三千四十円までの、下げ幅に対し半値戻し地点。

買い方は、力のあらん限り全知全能を尽くした。それはまさに気力のみの奮戦であった。これを古い歌の文句に置き変えるなら「われはたたえつ彼の防備、彼はたたえつわが武勇」というところだが、相場の世界は歌の文句のように綺麗事では済まされない。

春の交易会まで小豆の契約は出来ないという見通しだったが、中国の事情が変化して、MT貿易で商談再開。天津がトン当たりFOB一七八ポンド。山東が一七六ポンド。秋の交易会と同値。二・三月積みと三・四月積み。

買い方は青天の霹靂(へきれき)である。

契約料が、どのくらいになるか?であるが、相場観としては契約料もさることながら次のことを重視するところである。

①無理に無理を重ねて(八十八条に抵触するような仮装売買、なれあい売買をやって)買い方は強引に値段を煽り、そして吊り上げた。その反動はきつい。

②一月12日から二月12日まで、一気に持って行った棒立ちで、踏みは出た。従って下げに抵抗がない。

③買い方は、コスト高の買い玉がふえている。

④在庫事情は昨年の二月と本年の二月とでは、まったく違う。しかも先行き輸入もの(契約栽培ものを含めて)が入る可能性が強い。

⑤絶対量が、きわめて不足しているというわけではない。買い方が買い占めているだけで、いつの世でも買い占めのあとの相場はそのとがめが大きい。

市場では、また買い方が強引にひねり上げるのではないか?と警戒している。だからカラ売りも積極的でない。ということは下げが長びくし、深いものになると見る。

相場は明らかに天井したのだから崩れは厳しい。

●編集部注
先週当欄で指摘したNGワード〝鍬で味噌掘る〟という語句が飛び出したの
が二月八日掲載分。相場はこの日がまさに高値で、ここから相場は東京で一〇〇
〇円下落した。

 平成二六年二月、ソチオリンピックが終ったばかりだが、昭和四七年二月、札
幌オリンピックが十三日の日曜日に終了。

 そういえば、ここまでオリンピックに関連する文章は一つも出なかった。

【昭和四七年二月十四日小豆七月限大阪七〇〇円安/東京七〇〇円安】