昭和の風林史(昭和四七年五月四日掲載分)

崩落が見える 売り安全の相場

実勢悪に目をつぶって希望買い(理想買い)しているが現実は甘いものでなく崩落するだろう。

「はたはたと幟の影のうつ如し 汀女」

中国側は天津、崇明、山東、唐山、啓東、東北の全銘柄にわたって五ポンドづつの値上げをしてきた。

これに対し、日本の商社側は百㌧ないし二百五十㌧単位で、千五百㌧ないし二千五百㌧を成約した模様。これまでの分と合計して二千五百~三千五百㌧になる。

中国側は、実に巧妙である。しかし腹をたてては国際的な商売は負けである。そこのところは三晶も心得ていることであろう。結局のところ、春の交易会で五千㌧ぐらいは出来るのではなかろうか。

定期市場のほうは、まるで成約を催促しているみたいだ。相場が高くなれば、輸入を刺激する。強気陣営にすれば、成約難航だから、買い材料であると見るのかもしれないが、戦術的には、交易会の期間中は相場を低く押えておいて、商社の買い気を鈍らせ、交易会が終わった時点で一気に鞭を入れ、拍車をかけ飛ばせれば、きっと相場になるだろう。

しかし、そうもいかないところが相場であり、面白いところかもしれない。

九、十月限に対する一般人気は、やはり買い気が強い。先限引き継ぎ線もこれで千円棒がはいった。一代足でも六、七、八、九の各限月は、千円棒を立てた。

その結果、やはり万円割れは買いだ―という印象を全般に植え付けた。このことが将来どれほど小豆相場の下げ足を深め、立ち直りを困難にさせるかは、充分に予想されるもので、安ければ買っておけばよいという大勢無視のとがめが必ず出ることであろう。

四月末在庫35万俵。五月末在庫40万俵と予測されている。六、七月にも輸入物が入荷する。

供給に途切れるところがないのである。六月不需要期。九月ともなれば肥後熊本小豆が出回る。十月はもう北海道では新穀だ。その間、産地の天候と作柄という要因がついてまわる。作付けは全国的に増反である。

40万俵の小豆をゴロゴロ転がしていくわけである。

どう見ても、買い目のない相場を買ってくるのは①値ごろ感と②天候相場期待であるが、買われることによって、どれだけ悪い結果を生ずるかは、冷静な売り方でなければ判らない。この相場、ひたすら売るのみ。

●編集部注
この時およそ三万五千枚の取組高で推移。これが一カ月後には四万枚に乗せてくる。この一カ月の価格に注目されたし。