昭和の風林史(昭和四七年八月二十二日掲載分)

断然強気方針 押し目買い一貫

手亡相場が下げたところは買い方針。取り組みが太りだすと案外な値段を出すだろう。

「宵の雨夜半の月夜や草ひばり 秋桜子」

一万六千八百ヘクタールという手亡の作付け面積にびっくりした相場である。手亡の作況は〝良〟。従って一ヘクタール当たり(反当たり)二・八七俵。収穫予想は四十七万七千俵となる。記録的な減反だ。

当然先物市場で思惑の対象となる。

しかも、これから先、台風や早霜、あるいは豪雨などという天災が、収穫までつきまとうから、投機熱は高まるばかりだ。

従って、今後の手亡相場は七千五百円地相場。取り組み要因によっては八千五百円―という八千円を中心圏とする値動きになると思う。

ただ高値には輸入外国産白系統豆が供用出来るため白熱化した仕手戦が展開されるとしても、おのずから〝自動制御装置〟が働きかけて、上値を抑えにかかる。

目下ピービーンズの定期供用格差を虐待しているから〝自動制御装置〟の活動しだす値段は定期の八千円台乗せからであるが、相場というものは、ソロバン通りにいかないもので、人気が集中し、思惑熱が高まれば、あり得ないと思う九千円相場も、これまた相場になることもある。

現在のところ、まだ六限月制になったばかりで、取り組みも浅いし、一貫した作戦を持つ仕手の介入も表面化していない。

しかし、小豆相場から、手亡相場へ人気は急速に移動することは見えている。

ところで小豆相場も週明けは様相急変で、久々に見る〝夜放れ高〟だった。作付け七万ヘクタールとか、六万八千ヘクタール説からすれば六万八千四百ヘクタールは当初の予測通りという事になる。

そして今の作況から計算して百七十万俵ないし百八十万俵収穫の線が出てくるわけだが、日中友好ムードの昨今、秋の交易会で商談も考えておかねばならず必ずしも小豆相場が大底を構成したとしても上値に対する予想値段は九千五百円を出るものではなかろうか。

その限りでは、小豆は戻り売りを一貫すればよいという、実に判りやすい相場方針が出てくるのであるが、万人が、そういう考えになると、これまたその裏目が出たりする。

まあ、小豆は底が入ったということを再確認したところか。

●編集部注
この世界は「知ったら仕舞い」である。

情報だけに非ず。金融アストロロジーの大家、R・メリマン氏も著述の中で同じ話を。

「識られ過ぎたら仕舞い」である。

【昭和四七年八月二一日小豆一月限大阪八六五〇円・変わらず/東京八七一〇円八〇円安】