もう弱気やめ 安値仕込み大勢
相場は下がるだろう。だがもう弱気はしない。急騰したらどうする。そのときは売り抜けるだけだ。
「疲れ鵜も篝も舟もみなながれ 弥生」
このあたりからの安値を買い下がってみようか、というのは、値ごろ観によるものではない。
①投げ場面(急落)のあと、自律反騰があろう。
②満目総弱気。悪材料の織り込みも、ここからは早くなろう。
③売り厭き気分。
④日柄の面では、かなりいいところに来ている。
⑤値段としても、ここから下はそれほど深くない。
⑥資金がダブついている。
⑦作柄がよすぎると、かえってドカンとくる。油断大敵。病虫害や旱ばつ。集中豪雨の不安。
⑧かなり高値買い玉が整理された。
⑨大台三ツ変わり。いわゆるケイ線観。
大底待ちである。大底打ちががだんだん近づいてきたように思うのだ。
それが今月になるか来月になるかは判らない。
現在のところ強気する材料は、なに一ツない。
だが相場の大底とは、総悲観、陰の極で静かに打つものである。
それなら底入れ確認してから買っても遅くはないだろう。然り、その通りだ。何もあわてることはないのだ。
だから強弱なしで見送るのもよい。注意すべきは、ここから売り込まないことである。
豊作に売りなしという言葉。これを言うのはまだ早いかもしれないが、一ツの真理である。忘れないようにしたい。
大阪西田の買い玉。これが投げたら底である。大石の(坂崎系)売り玉、これが利食いにはいれば、キッカケになる。
売っても、売っても下げないという相場がくるだろう。なにもかもとどいた待ちである。それから日数がかかるかもしれない。人はそれを底練りという。
海綿が水を吸ってしまうと、もう一滴も吸うことが出来ないのと同じで、相場も、悪材料を本当に織り込んでしまうと、もう反応を示さなくなるものだ。相場金言に、知ったらしまい―というのがある。
下がるだろう。だがもう弱気はしない。
よしんば、これから長い道中になろうと、安値を買い下がっていく方針。それは相場が相場であるからだ。
強烈に反騰したらどうする?。その時は売れ。安値仕込みの玉を利食いすればよい。下値を幾らと見るかは、まだ判らないがもう浅い。
●編集部註
相場師豹変す。
筆が踊ると、相場観も冴え渡る好例といえる。
筆者が綴るより読者が当時の日足を見ると良い。
【昭和四七年六月二十日小豆十一月限大阪九九九〇円・二〇円安/東京九九六〇円・二〇円安】