昭和の風林史(昭和四七年六月十五日掲載分)

豊年満作祈願 札幌市場は休会

12日の安値は、いずれ割ってしまうだろう。今戻すほど、次の下げがまたストレートになる。

「水草の花のあけくれ渡守 たか女」

交易会で契約された中国小豆八千㌧の輸入が海員組合の長期ストで、入港しても当分荷揚げできないそうだ。(第一船宮産丸小豆七百㌧名古屋丸同三百㌧)。

そういう材料で相場は反発した。しかし海員組合は、いずれ解決しようし、入荷が遅れれば、それだけ先に行って品物が集中するから、期近限月は買われても、長期限月は〝売り直される〟宿命にある。

それにしてもどうだろう。産地の気温を赤鉛筆と青鉛筆で色分けするこのぎりの歯のようなグラフは平年より高い気温を示す赤ばかりである。積算気温からいえば、完全な豊作型である。

そしてきょう15日は札幌神社の御祭礼。五穀豊饒(じょう)を祈願して北海道穀物商品取引所は休会する。

昨年は13日に降霜があって14日(月)の相場は産地全限ストップ高、消費地市場も新穀は一万五千五、六百円とS高をぶっぱなしている。

あのころは、市場に緊迫感がみなぎっていた。へたすると取引所取り引きが停止になるぞ―という。だけに一面、投機家にとってはスリルが堪能できた。

ひるがえって今年はへたすると大豊作の上に大量輸入小豆を背負って麦と兵隊だ―と思わせる。(ゆけど進めど閑散相場、声を殺して黙々と)。であるから戻すところは、コツコツと売っておけという気になる。

産地から中間地帯の大増反が伝わってくる。発芽状態よし、と言う。そして成育順調は拡声器で繰り返し放送されるだろう。

それらの材料は、相場に織り込んでいると言えるかもしれないが、それは現時点では―と注釈をつけなければならない。

時間の経過に伴って、作柄は進み、その状況を新たに判断しなければならない。その時、相場は黙って崩れる。

線型は、明らかに三点底型を示している。Vの字型とNの字型の組み合わせである。三山、三川、三兵、三法、三空―酒田五法は相場の極意。線型は三川底型といえる。

だから買うべき材料のない相場でも、信は力なりと三川底を信じて買う人も出てくる。

よろしい。買いたい人は買いたまえ。相場の強弱は自由。筆者は厳然売り方針である。

●編集部注

あれこれと言われたのだろう。パッと見、線形は下値切り上がりだ。

【昭和四七年六月十四日小豆十一月限大阪一万〇九一〇円・五〇円安/東京一万〇七〇〇円・一九〇円安】