昭和の風林史(昭和四七年十一月二十日掲載分)

連続五本陽線 びっくりこいた

燃えるだけ燃えなければ消えない。現物の移動が活発になってきた。五本連続陽線だけに反落必至。

「川原湯はふかく澄みをり冬紅葉 幸」

名古屋の取引員は仕手関係の玉を扱っているところに限って査察の裏付け調査がはいっていた。毛糸に、小豆に、あまり目立った存在だけに国税庁のほうも仕手本尊に目をつけたのだろう。

相場と税金。仕手戦と税金対策。仕手となって活躍する以上、充分その措置は出来ていることだろう。

大阪市場は全限一万円台乗せの小豆である。

さかんに煎れている。需給だけで安心売りしたそのとがめが出ている。

それと価値観である。物とお金との比較論。十年前なら、北海道がこんな豊作だったら一俵五千円だ。しかし当時の五千円は、土地などなら今は五万円で通るところもある。一俵五千円が倍の一万円。一万円以下の小豆は、どれほど豊作でもお札の値打ちの下がった今では安すぎるのだ―と丸物不動産の大沢毅社長はいう。

目立つ売りを踏んだ中央商品は、輸入商社筋が安値を相当に売った。需給面のみを考えて、人気が燃えた時のことや物とお金の比較感についての配慮が足りなかった。ひとまず敗退するそうだ。

神戸の丸神に出ていた玉も敗退している。

にわかに穀物市場は活気を見せだした。

次は手亡であるという空気が充満してきた。

小豆一月限の一代足は五本連続陽線で千四百円幅を棒で立てている。

強気筋にすれば、今週あたり五百円ぐらいの押し目がはいると見ているが、弱気する者は、押し目ではなくひと相場を出しきって反落と見る。

売り方にすれば青信号で渡っているところに信号無視のトラックが暴走してきたいみたいな感じである。災難は、いつどこから降って湧いてくるか判らない。

踏み一巡。大衆の買いつき。荷物の移動を待つところ―。これならホクレンもタナ上げする必要はないのである。

上伸が、あまりにも急な相場だけに、先般のゴム相場を連想させるものがある。ここからの売り上がりが勝負である。燃えるだけ燃えてしまえば自然に消えるものである。もっとも〝燃えるもの〟があるあいだは火は消えない。燃えるもの、すなわち安値でのカラ売り玉である。

そして、この火は次に手亡の相場に飛び火するかもしれない。

●編集部注
最近日経平均予想を当てている人によると、今の日経と、この時の小豆は動きが似ているとか。

【昭和四七年十一月十八日小豆四月限大阪一万〇〇二〇円・一六〇円高/東京九九六〇円・一〇〇円高】