昭和の風林史(昭和四七年十二月九日掲載分)

常識的な動き 積極買いは疑問

年内は常識的相場になろう。戻りは売られる。春高期待が強いけれど、その逆も考えておくべきだ。

「戸一枚風除けにして牡蠣を割る 阿北」

およそ千円幅下げた小豆だが、人気のほうはどうなんだろう。

九千円割れ、あるいは期先限月の九千円近辺は新春高を見越して買っておこうという動きもある。

しかし、年末需要が一巡して、一、二月の不需要期に在庫がふえるパターンも無視出来ず、あわてて買うこともない―という冷静な見方も出来る。

仕手筋はいずれ買い建て玉が一万枚に達しよう。

この手はまだ現物を受けるという態勢をとらず、身を軽くしているが、現物も受けて、なお値が下がるから定期でも買い支えるという事になれば、過去の仕手が繰り返した軌道に乗ってしまう。

定期の勝負はあくまで定期でつけるのが成功の方法で、定期の勝負を現受けにまで延長して、しかも延々と現受け長期戦に持ち込んでは、まず失敗と言って間違いない。

一万二、三百円の相場がガタガタと来た。この現実を冷静に見なければならない。

一万円以上の値段は、今の段階では長続きしない。すなわち無理なのだ。では、もう少し先に行ったらどうか。

要は春になってのムードである。またその時の経済環境である。出来ることなら、今、安値を出して品物の消化をすすめ、俵を軽くすることだ。売れる時に売らねば売れぬときに高くなるはずがない。

もう一ツは仕手の動向である。〝仕手とできものは大きくなったら潰れる〟。長期投資にしろ、理想買いにしろ、長期思惑にしろ名目はなんとでもつけられるが、要は買ったものを高いところで売って銭儲けしようという事に変わりない。

その行為がうまく進まなければ、好むと好まざるとにかかわらず無理が生じ、戦線が拡大する。

戦線拡大→長期戦は、言わずと敗北の道である。

年内余日。さて、このあたりで小反発か。それともズルズルと安いか。

相場は相場に聞けと言う。とんでもない安値はなかろうが、とんでもない反騰もあり得ない。

まずは常識的な動きであろう。熱くなるところではない。

●編集部注
我慢して取れた相場ほど気持ちが良い。しかし大抵、相場で我慢をしてろくな事はない。

我慢に費やした時間を別の銘柄に乗り換えれば大抵は利が乗っている。

【昭和四七年十二月八日小豆五月限大阪九六五〇円・四〇円安/東京九五九〇円・一二〇円安】