昭和の風林史(昭和四七年十月三日掲載分)

押し目買い!! 小豆も出戻りへ

小豆も底を入れて出直り波動に乗った。買いが面白い。手亡も押し目を拾っておけば儲かる。

「焼栗やまた近くなる雨の音 幹彦」

商品相場はブームである。なにもかも熱狂している。穀物とゴムぐらいであろうか、静かな相場は。

しかしそのゴムが見直し買いで、ひと相場つくりそうだ。大底を這ったあとの放れだけに上値が大きい。

どうやら小豆相場も格好がついてきた。下期雑豆の輸入割り当てをしないという足立農林大臣の発言が、ナベ底を這っていた小豆のケイ線を棒に立て、これがキッチリと買い線になって商いが弾む。

ものは言いよう、考えよう。いま先に建っている三月限が前に回る時分は先限で天災期限月が商いされている。だから場面は、半ば天候相場だと、先の先に思いをはせる。相場さえ動けば理屈はなんとでもつく。

さて、この小豆、買いにくいようだが買いである。買いにくいのは①豊作だった②出回り期にはいる③輸入小豆の在庫が豊富という供給圧迫感が誰の頭にもある。

だが、次のように考えることも出来よう。①大底入れした②灰汁抜けである③売られながら高いという出直り初期の相場④安値売り込み玉のイレが出る。

とにかく大底のはいった相場は怖い。それは理屈ではない。高いから売る。売るから高い―が、高いから買う、買うから飛ぶという激しい流れになる。

手亡はどうか。見たところ七千円乗せは頭つかえで、ひと山つくり、あと安いのではないか。そう思わせる線型だが。

押し目をいれて、次の上昇波動を待つ格好で、決して弱気しても取れる相場ではない。

三百円押しが入って、存外下値が堅いということになれば、七千二百円抜けから七千五百円は人気一本で行ってしまう相場である。

手亡の六千五百円という値段が安すぎた。売られすぎの行き過ぎである。その訂正高が七千円相場となって、あと(現在)押し目をつくり、次なる材料待ちという段取り。だから、手亡の押し目はコツコツと拾っておけばよい。ものになる。

特に年末ギリギリの十二月限。あるいは一月限あたりは買い占め用の限月として、常に取り組みに注意する必要がある。案外油断していると、計画的に玉が仕込まれるものだ。

●編集部注
 イメージは恐ろしい。

 株式は「ひと山当てた」とポジティブに語られる事もある。しかし商品は「手を出した」とネガティブに語られる事が多い。

 どうしてこうなった。

【昭和四七年十月三日小豆三月限大阪八四六〇円・三〇〇円高/東京八五〇〇円・三一〇円高】