反発朝露の如し 暴落含みの風情
落花枝に返らずという風情の小豆相場だ。先限千三百四十円割れから売っても充分に取れる場面。
「熊野川筏をとゞめ春深し 遷子」
九星十二支二十八宿の暦で相場を判断するならば三月23日が大底で、四月5日から月命は甲辰になるから買い方針だと信じている人も多い。また三割高下に向かうべしの本間三位伝を信奉するならば三割安一万一千八百円以下は買いさがり一貫という。
だが筆者は四月3日の強力陽線(前日線を大きく抱いた)にもかかわらず4日の相場が弱いものであったことから、やはり戻り売り方針不変を再確認した。
この日、三晶が、パラパラと時雨(しぐれ)のように売っている。山忠の売りも三晶系のものらしい。前日、北海道はカネツ、宝、藤富の九限売りが狙われた格好で、これが踏んでのストップ高が、気分的に消費地に影響した。
ともかく、ここは15日からの交易会が控えていることだし、むこうの窓口は開けっぱなしの状態だ。去年の春の時とは事情が、まったく違う。三晶も、かなりの自信を持っているそうだ。
線型は、なるほど下値きり上がりの、いうなら小股の切れあがった好きな格好である。底入れ出直りと、見間違えるのは無理もないが夜目遠目傘の内。各限とも四月3日の寄りを切ってくれば絵にならない崩れ型。
きのうも書いたように折れ返し千四百丁の九千四百円が相場となろう。
言うではないか。天井三日底百日―と。
大出直りには、嫌というほど底練りを必要とする。それに六、七、八限の三千円以上の因果玉が、相当に残っているこの因果玉は天候相場にもつれこむ気だから、そう簡単に投げてはこぬが、値段で下剤をかければ、たちどころである。気が持てなくなるのだ。
相場には、戻したから悪い―と、戻さぬから悪い―の二種類がある。後者は戻り待ちに戻りなしの激流場面。前者が、ちょうど今の相場で、戻したから悪い。なぜ悪いかと申せば、①投げ渋り②買い気を起こすからである。
悪くなりかけたところを強力陽線で人の気を迷わせた。
しかし、相場そのものは、在庫の重さと輸入の途切れがないという二重苦であと下に二千五百円幅の下落が見えている。先限千三百四十円割れから新規に売っても間に合う。
●編集部注
是に風雨甚しと雖も、留り休むを得ず、辛苦つつ降りき―。日本書紀におけるスサノヲの場面と小豆相場とが重なる。
【昭和四七年四月四日小豆九月限大阪五八〇円安/東京五三〇円安】