昭和の風林史(昭和四八年一月三十一日掲載分)

S高は必至!! 〝相場〟を買うのだ

手亡が見直される。S高がはいるだろう。玉整理は済んでいる。小豆も強気一貫でよい。

「美しき冬木根まはり掃きて住む 汀女」

大豆と小豆が同じ値段という現象も、やはり時の流れだ。豆類が世界的に値上がりし、しかも今夏の天候が冷夏型―の予測では、どうしても手亡の相場が見直される。

手亡は専業大手筋の営業が証拠金の低いのに目をつけ、一万円目標で大商いとなった。

その相場がピービーンズ輸入で連続S安。先限九千六百円から七千七百七十円までS安四発の叩き込み。

高値の買い玉は、あらかたぶん投げた。玉整理完了である。そして八千円以下を売り込んだ。

その相場が二点底。そして割安感で出直り。

小豆は買いにくいという人が、この手亡を買ってくることであろうし、S安で下げた相場はS高で斬り返すのが定石である。九千円。あるいは九千五百円。そういう手亡の値段は充分に考えられよう。

とにかく今の市場はウリハナに片寄ると二百カイ、三百カイと、どこからともなく大量の買い物が出て、ストップ高になってしまう。

手亡も豆のうち、しかも輸出が出来る。資力さえあれば定期先物を大量に買い建てて、ピービーンズなどは出血で輸出してしまう。商社あたりならこの手を使うかもしれない。

本年の天候不順、凶作型冷夏については、まだ一般大衆は気がついていない。米作も不作になるだろうと一部で危惧されている。米の思惑もよいが、やはり先物市場に上場されている小豆なり手亡に買い玉を建てておくのがヘッジであろう。投機思惑から、不作凶作のヘッジという性格を濃くするのである。

さて小豆にしても株式市場のほうから億単位の投機資金が流入している。スケールが、どんどん大きくなっているのだ。

これで夏の天候が不順とくれば、やはり今年は二万円の相場だって考えられる。一万円が底で人気次第で二万円。今それを言うのは早いが、世の中の動きを見ておれば、あながち小豆の二万円相場も夢ではなかろう。

当面、七月限登場で一万三千円乗せという場面を考え、そしてそのあと、どの程度押すか。
押した相場は、もとより買いの一手。小豆を買うのではない。相場を買うのである。強気一貫でよい。

●編集部注
 今日の高値は明日の安値。買えぬ相場が強い。

 確率論では、直感による選択の逆を選択した方があたる確率が高くなるのだとか。実際、相場で利食いたくなった場面は乗せろと言う人もいる。

【昭和四八年一月三十日小豆六月限大阪一万二六二〇円・一二〇円高/東京一万二五一〇円・五〇円高】