昭和の風林史(昭和四八年一月三十日掲載分)

三千円は必至 次は手亡爆騰だ

大豆より安いという小豆の相場である。無条件買いだ。三千円掌中にあり。次は手亡がS高の番。

「つるばらの冬さくばらの白さみよ 万太郎」

東京穀物商品取引所は、どうも一月、二月という月は鬼門のようである。一昨年は二・一八のハプニング解け合い。昨年一月十二日は〝乱手まがい事件〟。そして今年は大豆暴騰が、まるで取引所における投機取り引きのせいだとばかり田中総理は閣議でトンチンカンなことを言う。
東穀は中国産大豆の上場で〝ミソをつけるのではないか〟と当初危惧されていたが〝いまや東穀は大豆でアブラを絞られているわい〟と―。

いまや食用大豆は一㌧22万円気配である。一俵60kgにすれば一万二千円の小豆よりも高い値段である。大豆が暴騰しているのは日本だけではなくアメリカがその根源で、世界的傾向だ。東穀の相場など、まだまだ安すぎる値段である。閣議での田中総理の、あたかも取引所が悪者みたいな発言は、血迷うたか、あるいは知識のない、たわけか大阿呆のいう言葉で、筆者はつくづく、この内閣は長くないな、と思った。

それにしても農林省のお役人は馬鹿内閣のもとでは大変なことであろうと思う。すでにウォール・ストリート・ジャーナルでは一月19日付けで大豆の大幅減産が報じられている。大豆暴騰は判りきっていた事である。

さて小豆だが、誰が大豆より小豆が安いなどという相場を予想しただろうか。物価を考える物差の目盛りは一夜にして革命する。

まして毛糸が規制、綿糸も規制、砂糖はもうひとつでは、専業大手取引員の営業は小豆、手亡に集中せざるを得ない。

しかもこの商品は夏の天候が、豊凶どちらにころぶか判らないという投機性を有している。
七月限登場で恐らく人気は一万三千円に湧くだろう。押したところは無条件で買うしかないのだ。

一方、手亡相場であるが、高値の買い玉は連続S安で整理が完了している。しかもピービーンズなど輸入したものは再び輸出してしまえばよい。国際価格は上昇機運である。そして北海道手亡などは、数がしれている。大豆の半値なら買っておいて心配あるまい。取引所の上場商品というだけでも、かなりの値打ちがある。手亡が見直され爆走S高の場も近い。

●編集部注
 間もなく二月である。昭和四八年の二月に、アース製薬がゴキブリホイホイを発売したのだとか。

 そんな話どうでもいい。

 もっと大事なニュースは昭和四八年二月十四日。この日、通貨市場は1㌦=三〇八円の固定相場から変動相場制に移行した。

【昭和四八年一月二九日小豆六月限大阪一万二五〇〇円・七〇円安/東京一万二四六〇円・七〇円安】