昭和の風林史(昭和四八年三月二十二日掲載分)

S高も可能だ 六千円抜け軽い

小豆は、ほぼ全戻しという格好になろう。人気相場である。千円棒が立てばS高さえ可能である。

「ぜんまいや松風ただに聴くばかり 柳芽」

小豆八月限は大台三ツを割る下げのあと下放れ斬り返し、その相場が続伸し千円棒を立てると、明らかに押し目完了となる。もう、これは凄い騰力を持つ、尋常でない〝大相場〟と言わざるを得ん。

作戦要務令〔決心を為すの注意〕。指揮官決心を為すにありては常に敵に対し主動の地位に立ちて動作の自由を獲得するに勉め、特に敵の意表に出づること極めて緊要なり、若し一度受動の地位に陥らんか終始敵の動作に追随し遂に失敗に終るもとす。

〔決心の基礎〕指揮官は状況判断に基き適時決心を為さざるべからず而して決心は戦機を明察し周到なる思惑と迅速なる決断とを以てこれを定むべきものにして―敵情の不明等により躊躇すべきものにあらず、一度定めたる決心は妄にこれを変更すべからず。

この小豆相場は上のものだ―と決めた以上は妄に迷うべからず。

すでに値ごろ観は通用しない相場であることを知ろう。

それにもかかわらず、やはり値段、水準が気になる心情は、時世、時代の変革を認識していないからである。この小豆相場は①残された②妙味充分の市場で③インフレ下における④換物人気と⑤天候不順が予想される⑥天災期を控えた⑦スケールの大きい相場であり⑧先般の急落で玉整理を終わったし⑨安値を売り込んだ。

従って筆者は、全値戻しも充分可能だと見る。

東証ダウ平均のグラフ。あんな格好になると思う。東証ダウは一月24日天井型。二月3日まで大暴落した。それが二月20日までほぼ全値戻し。それが再び崩れて戻りに対し八割の下げ、そしてまた反騰。
藤忠が発行している〝フジチュー・レポート〟(八頁旬刊)に判りやすい東証ダウのケイ線が(三月22日号)出ている。筆者は、このグラフを見て、小豆も高水準でこれと似た動きをするだろうと直感した。

小豆は、途中に起伏はあってもほぼ全値を戻すだろう。そして、新高値に買われる日も遠くない。

要は人気が集まるという事。これからは、相場であって相場でないし、相場でなくて相場である。筆者は日増しに強気の信念がエスカレートするのである。

●編集部注
何度もこの項で繰り返しているが、この見通しは決して間違っていない。

しかし、如何せん時期が早すぎた。一ヵ月後にこの文言が出れば諸葛亮の再来となっていた。

【昭和四八年三月二十日小豆八月限大阪一万四三五〇円・九〇円安/東京一万四一九〇円・一四〇円安】