昭和の風林史(昭和四八年三月十三日掲載分)

続落またよし 大きな逆張りだ

暴落よしという場面。強烈反騰またよし。大きな逆張り場面。千五百円~二千丁崩しあれば…と。

「木木の芽や新宅の庭ととのばす 子規」

小豆相場を小豆相場として考えてみた場合、今の時点を念頭に置くとやはり人気が〝仕勝って〟いた事を知ろう。

『S安。なあに買ってさえおけば…』という安心感がある。夏の天候不順予想―安ければ安いほど買い下がっていけばよい。

確かにその通りだ。

しかし、農林省の警告(12日・池田食品流通局長、岩野課長出席。全穀連鈴木一会長、山口六弥事務局長らが呼ばれ、価格水準いかんにより立ち会い停止の要請を検討すると言われる)が、なくても、およそ相場の現象面は次のようになっていた。

1・踏みが一巡した。

2・市場総強気になる。

3・知ったらしまいの材料(天気予報)出る。

4・日柄を経過している。

5・高水準で需要が落ちるということ。

暴落しても、それが当然であるという相場になっていた事も確かである。

そこへ、今年の小豆の作付けは減反にならないという情報がはいる。
北海道の中間地帯は、大豆よりも小豆という人気で、むしろ昨今の相場高騰で、小豆は増えるかもしれない。

こうなると実勢面とムード(人気)面の力関係で大波乱が展開される。
一万七千円をつけると証拠金も20万円になる。

農林省も上値に対しては目が光る。

現物が無いわけではない。作柄が決まったわけではない。天候が只今現在相場(作柄)に影響する時でもない。

となると、煎(い)れが出尽くし、高値を安心買いで飛びつき、しかも日柄の面では限界点にあり、さらにこれ以上の上値には規制が厳しく、需要期というのに、品物がありながらムード買いで高い―となればおのずから当面の相場の動きも予測出来るのだ。

高値から千四百円崩し。あるいは二千円下げ。

そういう崩れがあったほうが相場として、先行きの楽しみが残る。

いま、一気に一万八千円を勢い(人気だけ)で付けてしまうと天災期にはいると相場が出来ない状態になるかもしれない。

ここは大きな逆張りである。両建てもよし。暴落よし。強烈反騰よし。巧者筋の踊り場だ。

●編集部注
さぁ、始まった。サーファーならば狂喜する大波の到来である。

上にも下にも大きく動く故に、この時の相場は巧者でなくば耐えられぬ。

真っ当な発言が狼少年視される。そうなった時論調は替わるのか否か。

【昭和四八年三月十二日小豆八月限大阪一万五七七〇円・五三〇円安/東京一万五七九〇円・二五〇円安】