昭和の風林史(昭和四八年二月五日掲載分)

目先戻り売り だが大勢買い方針

大勢は買いのままの小豆だが、早すぎる反騰は再度の暴騰をまねく。手亡も押し目買い。

「よせなべの火を強くする二月かな 万太郎」

しばらくは戻り売りの小豆相場だ―という見方はどうだろう。しかし、下げ地点は七月限の一万二千円あたり。雑豆自由化再燃、あるいは台湾小豆の入荷、いつ、なにが飛び出してくるか判らないが(通貨問題にしても)―。一万二千円前後の小豆なら、そういう材料出現のショック安場面を買い向かえばよいと思う。

長期限月の一万一千五、七百円あたり。そのような値段は待っていて買ってみたい。この場合、やはり夏の天候の思惑投機である。

全般に、どちらかと言えば、安心買い人気になりきっていた。買えば儲かる―と。インフレ。桑名筋の買い。冷夏型天候の先物買い。国際的豆類の高騰。

その裏にある日柄の経過と値段水準が風当たりのきつい地点に来ていることや、取り組み面の事、そしてホクレンのタナ上げ分の放出など、まったく無視され、豊作だったから買いだ―とまで言われ、それがまかり通った。

しかし相場は、あくまで相場である。

日柄の経過は必ず相場の疲労を呼び、相場の疲労は反落をまねく。

週末、天災期弦月が逆襲斬り返しで前日の失地を奪回した。

だが、どうだろう。

下げる時は下げるべきが自然の相場である。

早すぎる反騰は、案外モロイものである。

二月2日の高値付近までは付けて付けられない相場ではないが、そうなれば再び急落しよう。それは日柄の面からくる急落に、なんらかの突発的材料が出現して―。

筆者は決して小豆相場を弱気するものではない。大勢一万五千円→七千円は信念を持っている。

ただ、そのようなスケールの大きい相場に発展するためには、今の時点で深く押して相場を洗い直し、相場に酸素を送り込み新鮮なものにしたほうがよい。

週明け、仮に棒で立とうと、もう一度この小豆は深い下げがあるだろう。

手亡も大勢的には一月17日の高値と二月1日の頭、この二ツを買い切ってしまうと一万一千四百円目標に走るだろうが、今のところもう少し下値で値段を洗う必要がある。

 ●編集部注
「象の時間、ネズミの時間」と言う本があった。

動物はそれぞれの個体の大きさで時の流れるスピードが変わるという。
 
相場師も、短期派と長期派でまったく違う。

【昭和四八年二月三日小豆七月限大阪一万三二四〇円・五四〇円高/東京一万三二〇〇円・二五〇円高】