昭和の風林史(昭和四八年五月二十二日掲載分)

ようやく熱狂 深押しは買い場

基調は一本道。千円ほどの押し目が入ると三千円高をする小豆相場だ。利食いよし、突っ込み買い。

「声ちかき仏法僧に坊舎あり 柳芽」

ようやく小豆相場は熱狂してきた。期近で三千円替えの上昇だから売り方も苦しい。

人気が弱すぎた。その反動もある。

九月限でおよそ四千円幅を騰げた。筆者は単なる戻りではない、この相場は出直りである―と強調してきた。

天井現象が現れるまでは、安く見えてもそれは押し目であると書いてきた。

基調は産地の異常気象と売り込まれた取り組みによって非常に強い。

月曜(21日)は夜放れ高で商いもよく出来た。

押し目を軽く入れて、はね返せば五千三、四百円を付ける相場だ。

弱気は在庫量を頼りにして、二千円ぐらい崩れないだろうか―と北海道の空を眺め嘆息しているが、押しても二千円は下げない相場になっている。やや熱狂し、踏みも出て夜放れ高をしたから押し目を入れてもよいところであるが、せいぜい千円棒が入る程度だ。

月末から六月上旬の一番難しい時に冷え込む予報が出ているため、大きく押せば当然また買われる。

もし六月上旬までに降霜がなければ、次は青田ほめで売られる番だ。

予報どおりに降霜を見ればストップ高の六千円台の相場が展開される。

大手買い方は噴けば利食いし、無理をしていない。安ければ再び買う。

どこまでも基調は一本道である。

消費地六十万俵の在庫をかかえて軽々と上昇するのは、相場というもの、その時の人気がいかに怖いものであるかが判ろう。

筆者は、このあたりで千円押し、千円棒が入ったほうが、相場の基調は、さらに強靭なものになると考える。

急落場面を、ワッと売るのは弱気筋であろう。

千円棒が、どこの地点から入るか判らないが、千円押したら、その三倍の三千円を火柱で立てるコースが予想出来る。

たとえば、五千円どころから千円押しは一万四千円。そして三千円高は一万七千円相場。

手亡も買い気がまわって、九千五、七百円。小豆が買いにくいから―と手亡を買ってくると、この手亡は足が早い。手亡が一巡買われると小豆は押し目に入るものだ。

●編集部注
 相場は意地悪で、押すと見た所では押さない。

 買い方の利食い心理が強い相場は逆に強い。

 さて、この頃の出来事を調べていたら、山口百恵が二十一日に「としごろ」で歌手デビューしたと書いてあった。

【昭和四八年五月二一日小豆十月限大阪一万五〇一〇円・六二〇円高/東京一万四八五〇円・四四〇円高】