昭和の風林史(昭和四八年八月九日掲載分)

厳然売り方針 急反騰を狙え!!

小豆は戻しては下げ、戻しては崩れる格好。もう相場に力はない。特攻的買いが入れば成り行き売り。

「初秋の雲遠近や信濃川 虚子」

小豆相場が本格的に戻すとしても崩れるにしても、結局は規制が緩和されてからになるだろう。

いまのところ、急落しても、いつまた逆襲で切り返してくるか判らない。

市場が大幅の増証と、厳しい建て玉規制で〝いびつ〟になっているため、煽りをかける陽動は、今まで見てきたように、買い方の采配一ツで、どうにでもなる。

しかし、相場の実態を遠くから冷ややかに眺めていると、この相場①もう以前のような力はない②八千円~九千円台の買い玉が因果になっている③安値の売り玉は、ほとんど踏んでしまった④日柄の重みがずっしりと、のしかかっている⑤支えとなる支柱もギシギシいいだした⑥買い方に味方する材料は聞きあいた⑦そして、相場は、あくまで相場である―という事が、ぼつぼつ判然としてきたのである。

筆者は、規制が緩和されたら暴落すると思う。七千円台を仮に買い方の手で付けるような場面がこの先にあれば、絶好の売り場になるだろう。

下値目標一万三千円ないし一万二千五百円。

新穀の収穫期にかけて恐らくそういう値段がつくだろう。

強気は材料に事欠くと来年の減反と天候とを言う。来年の事を言うと鬼が笑うのであるが、当面、これという材料がないから仕方がない。

在庫を無視してきたとがめ。作柄と作付け面積を無視してきた反動。そして高値圏内での嫌になるほどの波乱。人気はその間に離れてしまった。

すでに手亡は誰も相手にしない。大衆から無視された相場は、みじめである。どんなに動こうと人は近寄らない。勝手にするがよい―と見放してしまう。

小豆もその傾向がある。馬鹿馬鹿しくて相場などやれるかい―というわけだ。

しかし、古今東西、どのような相場でも結局は自然に戻る。

今の小豆でも二万円などは夢の夢。一万九千円も無理。一万八千円など付ければ絶好の売り場。一万七千円だって頼りない。まあ一万五千五百円以下の水準までは戻しては下げ、戻しては下げになろう。

●編集部注
ロジックを積み重ね、戦略が決まった。あとは動くのみと言った処か。
 
話変わって、先月まで日本経済新聞の連載「私の履歴書」には浅岡ルリ子が登場していた。
 
彼女の当たり役「男はつらいよ」のリリーは、この記事の前週八月四日に公開された「寅次郎忘れな草」で初登場する。

【昭和四八年八月八日小豆一月限大阪一万六五五〇円・四一〇円安/東京一万六六六〇円・二七〇円安】