断固売り方針 まだ下げの途中
千円戻りで減反による戻りは終わった。もし規制緩和でまた戻れば売ればよい。二段下げの道程。
「草の葉に置くや残暑の上ぼこり 北枝」
きょう二十二日は処暑、暑気の止息する日という。しかし、まだまだ今年は暑さが続くらしい。
まったく今年は気象庁の長期予報と正反対の内容において異常気象の夏だ。
とにかく一部地域を除いて雨が少ない。琵琶湖という日本一の水ガメをもっている京阪神でも水キキンに見舞われているし、東京でも昨日から七%の給水制限にふみきった。高松や松江などの地方都市では断水のところもあるという。
あてにしている台風は次次とそれてしまって、日本列島はカラカラ。農作物にも被害が出始めている。これから秋口にかけて野菜類の値上がりがインフレ家計に追いうちをかけること懸念される。とにかく一雨も二雨も欲しい昨今である。
こちらの少雨状態にひきかえ、産地の北海道では先週末に大雨があったし、その後も適当に雨があってひところの干ばつはまったく解消した。そのうえ気温も八月七日以降連続して平均気温をはるかに上回り順調そのものである。
さらに三カ月予報をみても今年は早霜や秋の長雨のおそれを強調していないので、このままでゆくと農林省発表による減反分を作柄によって充分に埋めて、なお余りのある収穫が予想されるだろう。
一万九千円台から、一万四千円台まで五千円幅下がったあとに、タイミングよく予想を裏切った減反発表となったため、先限で千円戻りとなったが、それ以上戻す力はとてもなさそうだ。千円戻しただけ逆に戻り値から二千円下げは見えている。
冷静に考えればいくらインフレムードといっても、また国際的に穀物不足の時代といっても、あり余る小豆を二万円近く買うのが不思議であった。
三十万俵棚上げを必要とした大豊作年にかかわらず、平均して一万数千円の値ごろを維持したのは有力な買い仕手が存在したからにほかならない。
今年もそう仕手筋が出動して私設タナ上げ機関となってくれるが、それともホクレンあたりが昨年以上の量のタナ上げを発表するまで、戻りハナを売っておけばよいという
相場がしばらく続く。値惚れ買いの時期にはまだ遠い。
●編集部註
相場に塔婆は立たず。
値幅はジリジリ。波動もパッとせず。ただ、日柄だけが過ぎていく。
古今東西関係なく、大ガラは忘れた頃に来る。
【昭和四八年八月二二日小豆一月限大阪一万四七七〇円・七〇〇円安/東京一万四九一〇円・七〇〇円安】