昭和の風林史(昭和四八年六月二十五日掲載分)

逆張りの場面 七千円台は売り

目先、先限七千円台回復という味である。七千円台は、また売り場になろう。高値圏の逆張り。

「牧草の丈なすままにほととぎす 秋桜子」

名古屋小豆の代行残が八百七十四枚。大阪小豆百四十九枚。東京二十九枚。三市場で千五十二枚の早渡し玉がぶら下がっている。

手亡の代行残は名古屋四百四十枚。東京二百十一枚。大阪九十二枚。三市場で七百四十三枚である。

早渡し、早受けは現物需給のバロメーターである。千五十枚、四万二千俵もの早渡しが代行尻にあるという事は、需要が停滞していると判断せざるを得ない。

前週後半は小豆の作付け面積が早耳情報や臆測で六万八千ヘクタールと伝えられ相場は反発した。一般に七万三千ヘクタールという予想であっただけに、五千ヘクタールの減少は刺激材料になる。

道農産部と農務省の予想数字では、いつも開きがあって、今週の発表が注目された。

市場人気は、高値から二千五、七百円を下げたいま、強気も多い。押し目完了と見ている。

高水準に、なれた今の市場では、新穀の一万五千円台は割安に見える。

それにしても、小豆の当限と手亡の先限が、ほぼ同水準ということも小豆の下値の限界を思わせて、弱気しにくいところ。

産地は旱ばつ気味だという。弱人気充満の市場なら、きっとこういうだろう『旱ばつに不作なし』と―。しかしその言葉は聞かれない。人気が強い証拠である。

波動からいうと目先的には先限七千円台回復のところかもしれない。

下げる時に明けた空間窓を埋めにかかっている。

また、六千円割れを売り込んだことも下げ相場にブレーキをかけた。

高値圏の逆張りである。

それにしても手亡が強い。もう少し日柄を必要とするのかもしれない。燃えきれば枯れる相場だが、先限三千八、九百円に火力を強めて五千円必至の人気で踏ませてからの下げになるのかもしれない。

今週は納会を迎える。納会の様子を見てから七月の相場を判断しようという人気である。

作況のほうはだいたい平年並みを伝える。悪い悪いと異常天候が騒がれたわりに実際は悪くない。この人気と現実のギャップがどこで出るか。

大きく戻したところは売り場になろう。

●編集部注
 ギャップは確かに出る。 罫線上に綺麗に現れる。

 大きな誤算は、その後の相場が、文中の目論見とはかけ離れた動きを見せるという事である。

【昭和四八年六月二三日小豆十一月限大阪一万六三五〇円・一三〇円安/東京一万六五五〇円・一五〇円高】