昭和の風林史(昭和四八年六月二十六日掲載分)

土用天候待ち 当分は逆張りか

小豆は六千円中心の上千円、下千円という圏内での動きになりそう。手亡は総強気の裏が出そう。

「さながらに河原蓬は木となりぬ 草田男」

作付け面積の発表待ちである。小豆は六万八千ヘクタール買いの七万三千ヘクタール売り。手亡は大幅減反間違いなしで、予想通りの減反なら、もう一段買われようし、一般が予想しているほど減反になっていなければ、これは一度大きく下げる場所である。

手亡に関しては、まったく弱気する材料が見当たらない―という、まさしく雲一ツない晴天である。

しかし、それだけに不安も大きい。即ち買い安心の市場、万人総強気。こういう時こそ警戒しなければならない。

あえて弱気はしないまでも、ここからの手亡を強気して、上値の可能性もあるだろうが、大きなリスクもつきまとうことを知っておかなければなるまい。

小豆のほうは強弱が割れるところ。先限の一万五千円割れは買い。一万七千円乗せは売りという逆張りの方法も考えられるし、七千円を抜く相場なら、その勢いに乗って買い方針。五千円を割るようなら悪い相場だから、そのあたりから売っても充分間にあう見方もある。

線型は、六千円中心のモミ合い型。一万六千八百円以上のシコリ、高値玉圏内に食い込めないで一万六千六百円、七百円どころにに相場の断層が出来た。

と申して一万四千七、八百円あたりには頑強な下値支えの抵抗がある。

相場は、あくまでも皮肉に動いて高値買い玉にも、安値売り玉にも、公平に手のとどかないあたりでジグザグ高下しそうだ。

先物引き継ぎ線で一万五千五百八十円あたり、新穀のサヤを新ポに買って放れた地点。これ以下のところに大引けで足場をつくる相場と見る。

現在、超強気は一万八千二百円の6月9日高値は買い切って一万五千円地点から七千円高を考えるし、超弱気はシックス・ナイン天井で一万二千円必至を予測している。

今のところ小豆の作況は平年作。問題は土用にはいっての天候である。

しかし、たえず低温がつきまとい、秋の冷えこみも早い予想だけに弱気するのも一本道ではないし、さりとて豊富な在庫と案外調子のよい作柄など見ていると一本道の強気もしにくい。ともあれ、しばらくは六千円中心の逆張りという動きであろう。

●編集部註
 
 血の気の多い時代だ。国鉄暴動が四月。日本武道館での暴動が六月二十五日。相場も、これから血の気たっぷりとなる。

【昭和四八年六月二五日小豆十一月限大阪一万五九四〇円・四一〇円安/東京一万六〇八〇円・四七〇円安】