相場の根底に構造的需給不安
人気のない、そして世界的に代替品の多い手亡までが爆発高。ここは人気につくほかはない。
「梅雨寒や片付け物の片付かぬ 富士子」
関西地方が五日に、そして関東、東海地方が六日につゆ入りとなった。暦の上のつゆ入りより数日早いが、ほぼ平年並みに近い。
つゆ時は西日本の天気が崩れると北海道の方は大体天気がよくなるのが普通。大気の流れが西から東に流れるのと、梅雨前線が発生するためには北から高気圧が張りだしてくることが必要だからだ。
北海道地方は北太平洋の高気圧におおわれて今月二日からこのところ晴れて気温も平年並みである。この調子では発芽も予想より早くなるだろう。
問題は来週中にも遅霜があるかどうかである。
気象上の資料によると凍霜害による農作物の被害というものは人が懸念しているほど何回も出ているものではないし、またその範囲も局地的である。
たとえば十勝地区に霜があったとしても空知の方には全く影響ないのが普通だ。霜一発で作物が全滅するという確率は極めて小さい。
もちろん降霜があれば大なり小なり被害が出るのでS高は当然ありうるだろう。
しかしなければ暴落するか?ここへきてその可能性はほとんどなくなった。
それは長らく不振をかこってきた手亡までが、あっという間に一万一千円台という史上最高値に乗せてきたことからしても、この相場が大小仕手の策動による一時的なものとは考えられなくなってきた。
それにこの一カ月の間に約五万枚も急増した取り組み内容が問題である。マバラ売りの仕手筋買いの傾向が著しい。すでに全国での小豆取り組みは十五万枚を突破した。今年の三月をはるかに上回っている。これでは大きく下げようにも下げ余地がない。
もし下げるとすれば今年の収穫量が平年作以上という見通しがたち、また世界的にも穀物の収穫量が昨年を上回ることが確定的となった時だろう。
その時は二カ月で七千円も上げた相場の反動が出るだろうが、それまでにはまだ当分時間がかかる。
株式も底入れ感が濃くなってきた。商品相場も小豆だけでなく全体に戻り歩調だ。
人気のおもむくところ、いつでも同じだ。これに逆らうのは愚かである。
●編集部註
これだけの大相場、当然下げ場面もある。それはフェイントなのだが。
【昭和四八年六月七日小豆十一月限大阪一万七三二〇円・二四〇円安/東京一万七五七〇円・九〇円安】