昭和の風林史(昭和四八年四月三日掲載分)

逆襲は強烈だ 不動の信念買い

売り方は、ぶった斬ったという久しぶりに味わう快感であろうが、勝負はこれからである。

「おぼろ夜のうしろ姿や京言葉 牧山」

四月新ポは、ぼんやりで発会した。

さて四月、と座り直してみても、なんということもない。

お天気のほうは花曇り。高きより散りくる花や貴船みち(王城)。熱い目にお燗をしたお酒を魔法瓶に詰めて出町柳から鞍馬行きの電車に乗って、洛北貴船あたりに―などと、とりとめもない事を考えていると、三節、グヮンと相場は安い。

新ポ、九月限がサヤを買えなかったのを嫌気した。市場は総弱気である。相場に力がない。投げ物が嵩(かさ)む。

こうなると、相場地合いは、手のほどこしようもないほど悪い。

しかし、一万三千円割れを売って、幾らの小豆を考えるのであろうか。

相場に値ごろなし。荷圧迫、荷もたれ、インフレ買いの反動、売り方有利な市場規制とは申せ、急落あれば急騰あり。

一気に値幅で整理を強要すれば、灰汁(あく)抜けになる。

ケイ線は二段下げ、あと戻して三段下げにはいるという見方になっているようだが、この場合、一万六千三百円を付けた三月10日を天井と決めれば―の話。

八月限(先限時代)六千円→五千円→四千円と大台を三ツ割って〔二千四百五十円〕下げ。大台三ツ替わりは買い場。〔千三百四十円幅〕を反騰した。

その相場がまた五千円→四千円→三千円と大台を三ツ割った。

腹だたしい思いで騰げ相場を、さんざんやられた売り方は、嵩(かさ)にかかって売り崩してくる。

買い方主力の息の根を止めてしまえという殺気を感じる。

しかし、天は、この先どちらに味方するのだろうか。あくまでも天候相場が天王山である。

引かされた玉だろうと、辛抱すれば、生き返るのである。値段を下げるだけ下げておけば、千円、二千円、三千円反騰しようと、市場管理で問題にされることはない。

充分に引きつけておいて大攻撃に出る。調子に乗って安値を売り込むと、目から火が飛ぶ逆襲に逢うことであろう。

新ポは春爛漫の買い場であると思った。

●編集部注
 上記のコメント通り、玉さえあれば、払うべき追証が潤沢にあれば、生き返る事は簡単だ。

 ただ、相場様は人のお財布の中身をご存知のようで、いつも資金力が尽きる寸前か、丁度なくなる所まで曲げる。

 相場が天底をつける時は、相場師の心がポキリと折れる音が響き渡る。

【昭和四八年四月二日小豆九月限大阪一万二七九〇円/東京一万二七九〇円】