〝場味〟急速硬化 まず千円棒記入
千円棒が入れば三分の一戻し。そうなると、ひと味違うどころか、相場は完全に変わるのだ。
「山吹や庭広やかに家小さし かな女」
小豆相場は、底堅い動きを見て、売り方も気持ちが変わりつつある。即ち期近限月の一万円割れは、小豆そのものの、物の値段として下値の限界である事を、あらためて認識した。
そして天災期限月の先三本の千円割れは、これも〝売るのは危険〟という人気が支配している。
目下のところ、全般に市場は気迷い気味とは言うものの、いまの段階では下値の限界が、ほぼ判っただけに、売るなら、もう少し戻したところという事になる。
強気は、すでに高値から買い下がり、資力的にも限界があって、積極的な動きは出来ないが、気分的には随分明るくなった。
これで安値を固めれば、明らかに天災期にかけての大底形成となり、千円戻し(千円棒記入)から三分の一戻しの一万二千二百六十円関門。こうなってくると安値の売り込みは、戻りを戻りなどと言ってはおれなくなる。
相場の材料は、あとから、なんとでも付けられるし、まず買われて、それから材料が出現することもあって、三分の一を戻せば出直り気分が充満しよう。
そうなると、相場に弾みがつくし勢いに乗る。三分の一が半値の一万三千円。
戻すに従って買い方は力を回復し、逆に売り方は苦境に立つ。
手あき筋も、ここま一番乗り遅れてなるまいと買い注文を出す。
市場が明るくなれば、どうしても陽気な側に人は集まる。五月の荷圧迫感も、影の薄いもの(材料)となるだろう。それは、もっと刺激的な天候不安、異常天候等の材料が全面的に市場を包むからである。
いま、売り材料とされている六、七十万俵の繰り越し予想の小豆現物にしても、今年の作況が半作ならば、もとより〝虎の子〟となろう。定期は二万一千円以上を付けさせないという事も今から考えておかねばならない。そうなると定期は二万一千円の貼り付け天井。現物二万五千円などという事にもなる。従って現物を抱いた者が勝ちだ。
いま、そういうことを予測するのは憤飯(ふんばん)ものかもしれないが要は信念だ。充分あり得ると筆者は信ずるものである。
●編集部注
買い方が一番心揺らぐのは、存外この辺りだ。
【昭和四八年四月二十日小豆九月限大阪一万一五九〇円・二二〇円高/東京一万一四四〇円・一八〇円高】