大底を確認す 再び買いの時代
小豆相場は底がはいった。再び買いの時代がくる。売られながら大相場、全値戻しをしよう。
「一片の落花見送る静かな 虚子」
さしもの小豆相場も土曜(7日)の総投げ、立ち会い延刻でカチーンと大底が入った。月曜は、七日の短い日足線を〝捨て子〟(離れ星)にして上に寄った。
生糸はストップ高。綿糸、ゴムも反発した。
なんとなく最悪場面を通り越したような感じである。
人々は戻り売りを言う。きわめて警戒的である。
およそ五千円替え、厳しい値崩れの小豆だった。
さし当たって、人気面を盛り立てる材料はない。しかし相場は大きな整理を終わって、内容的には新鮮なものに変化している。
値段も水準を低くして妥当な地点といえる。
これからの売る人もあるだろう。しかし筆者は大底圏内にある相場だ―と思う。
これから二万円という値段を目標にして強気一貫。下げがきついという事は、反騰もまた大きいことであろうと思わせる。
作付け面積が増反になるか、減反になるかが当面の関心事である。
天候のほうは予想はもとより楽観出来ない。
今年は、定期相場が二万円。現物相場が二万七千円という場面も予測出来る。二万円以上の定期相場は〝立ち会い停止という〟事態にならないとも限るまい。
人々は言うだろう。在庫四十四万俵。十月の繰り越しは、六、七十万俵にもなろう―と。
しかし、それは今、現在の予想であって、仮に今年の作柄が冷害・凶作、収穫六十万俵―などということになったら繰り越しの六、七十万俵小豆は、まさしく〝虎の子〟になろう。
人間は立場で物を言う。相場は時点で予想する。
下げ幅五千円の全値戻しから倍返し地点となれば二万一千円〝増山相場〟で付けた値段である。
今年は恐らく遅霜である。これだけ世界中の気象に異変が続いている時だ。昨年の北海道の豊作は奇蹟中の奇蹟であったと気象関係者はいう。
相場というもの大底が入れば、どんな悪材料が出ようと逆にそれを買い材料に消化してしまうものだ。
四月七日、釈迦尼仏降誕の花祭を前にして、小豆相場は大底を打った。
再び買いの時代が、めぐり来るのであった。
●編集部注
前にも書いたが、この当時の慶応大工学部の年間授業料が二十万円だ。
少し前の小豆相場一枚の証拠金がこの額であったがこの変動だ。追証だけでなく、臨時増証拠金等もあったのではないか。
【昭和四八年四月九日小豆九月限大阪一万一八〇〇円・四九〇円高/東京一万一七九〇円・三八〇円高】