切れ味が鈍い
吹き値売り絶好
◇…反発しても、以前の〝切れ味〟はない。産地の天候はグズ付いたままだが、相場は水準低下を免れまい。
◇…北京商談における成約が四百㌧ほどで、あと中国側から「売り物なし」の返電である。これでは香港経由分を含めても七百㌧ほどであり、それこそ幕間つなぎ商談に終わってしまった。
あとは秋の交易会まで待つしかない―というのが一般的な観測のようだ。
◇…ところで相場の方だが、下げると見せかけながら、逆に反発に転じている。どうやら、きょう(二十七日)あたりから回復すると見られた天候が、帯広で霧雨一四・九度、平年比二度低(朝6時)と、相変わらずグズついているのが響いているようだ。
◇…こんな調子でいけば日照不足でツル丈だけはヒョロヒョロ伸びるし、開花期の照りつけもあやしいもので、作況はどうみてもよろしくない―とみるのがまず妥当な見方である。
◇…もっとも作柄判断が間違っていなくとも、相場は常に作況に忠実でないところが、相場のむずかしさかも知れない。
◇…なまじっか産地情勢に精通しているばかりに、相場に大曲している人を数多く筆者は知っているし〝道さんこ〟の相場上手という話もあまり聞いたことがない。
まあ、それだから、一般投機家も参加できるわけで、値動きが単にその場、その場の材料で動くものなら、情報を早くキャッチできる玄人筋の〝好餌〟となり、先物取り引きは誰も寄り付かぬ淋しい市場となってしまう。
◇…相場の方は高いところ、噴いたところさえ売っておけばよい。実に判りやすい動きである。
「三尊天井型」かも知れないし、見ようによってはここらで突いたり押したりのもみ合いの経過をたどり順次肩下がりで水準低下―というコースとも受けとれる。
◇…そして言えることは買い方が異常天候にくらいつき離れないように、売り方も近藤紡、そして輸入大手商社・三晶―が、このところ毎日のように売り乗せており、一層緊迫の度合いを深める―ということだ。
◇…しかし、相場自体はすでに買い疲れの色を濃くしており、どれほど買い方が防戦買いに努めようとももはや言うことを聞かなくなっている。
相場に少しも凄味(すごみ)がなくなった以上、反発しようが急伸しようが、売り方が攻撃の手をゆるめることはあるまい。
下げるしかない相場だ。
●編集部注
相場はイジワルだ。
のたくり相場が続いている。今なら、この相場を見てどう言うだろう。
「放れにつけ」か?「無欲万両」か?
【昭和四六年七月二七日小豆十二月限大阪四一〇円高/東京四六〇円高】