昭和の風林史(昭和四六年七月二十日掲載分)

買い玉逃げよ 再び千円崩しが

もう一度反落して千円棒のはいる相場のような気がする。大勢強気だが噴き値は買い玉を逃げよ。

「かなかなに山は夜深き土用かな 月笠」

土用入りを前にして産地の天候が崩れていることから週明けは新穀限月を中心に噴き騰げた。安値を売りこんだあとの相場だけに踏みもはいって勢いがある。

しかし十一月限で、あの六千三百円のところの大きなカタマリを、果たしてこのまま買い切って、突き抜けることが出来るのだろうか。週明けを飛ばしすぎたため、もう一度下値固めにはいるとも予測される。

大阪六千三百六十円、シックス・スリー・シックス。(十一月限で付けた高値)これを買い切るようだと一気に大天井を構成しに行く相場となる。その場合一万六千七百円から一万七千三百円。凶作相場のフィナーレ、最終楽章だ。これは明日から、むこう一週間の、いわゆる土用の天候が大きく崩れて作柄に影響をあたえた場合、予測できるコースである。

しかし、六千三百六十円を買い切れず、やっと戻した、よくぞ戻した、やれやれ戻した―という感じが少しでも見えたりするとすかさず叩き斬られるだろう。

いうなら難所である。ここのところは凄さと勢いで目をつぶって買い切ってしまわなければならないところである。

仮りに、買い方の攻撃が失敗したとする。

その可能性は多分にある。①高値掴みの玉が随分残っている②売り方は一度この値を辛抱してきた③作柄は極端に悲観すべきものでない④先行き需給見通しも一時に比べて緩和気味⑤買い方仕手筋は腹一杯買っている。天の味方を持つ格好である⑥それと人気面が再び強くなってきた。

下げ幅に対し半値戻しから三分の二戻しにかけて夜放れ空間高(産地ストップ高)は相場出直り期の若い時のそれなら無条件についていかなければならないが、今の相場、出直りでなく強引に買い上げて、つくった格好の〝戻り〟にすぎないため、無理したとがめで、もう一度千円棒のはいる下げを考えておくべきかと思う。

大勢的には筆者は強気である。

目先も強気だ。

しかし中勢的には先二本の一万四千五百円以下の値が付かなければならない相場と見る。

なに事も一本調子にはいかない。これからは起伏の多い動きとなろう。売りでも買いでも取れる相場である。噴き値は利食いしたらよい。叩き込みの崩しは買うのである。

●編集部注
利食いは簡単である。利食いは器量ともいう。難しいのは利食い後の一手であろう。ましてや、ここはGAP相場。

相場は呼吸する。本文の最後の段落は金言だ。なかなか出来ないが…。

【昭和四六年七月十九日小豆十二月限大阪六九〇円高/東京六四〇円高】