昭和の風林史(昭和四六年九月二五日掲載分)

阿波座の陰謀 業界轟々と非難

大阪穀取の理事長は辞任すべきだ。ロボット市場管理委員長も責任を取るべきだ。腰抜け共。

「はればれとたとえば野菊濃きごとく 風生」

大阪穀取は、またパンツをぬいだり、はいたりしている。

ロボット市場管理委員長や、かなり、もうろくした理事長や、相場師協会長は、今の取引所の運営を、まかせておくわけにはいかない。
なんだ、市場管理委員長のいない席で証拠金を馬鹿みたいに50万円に上げてみたり、一限月一人五枚などと規制したり、それはなんのために、そういうことをしたのか、阿波座をとりまくS・S親衛隊長の大なる陰謀の真相を書かねばならないが、それにしても一度決めた50万円の証拠金を東京並みに引き下げてみたり、常にその思考も行動も一貫性がない。

ロボットの市場管理委員長は、その職責に忠実でないと自ら認めれば、即刻辞任すべきである。

阿波座のゲシュタポS・S親衛隊長の言いなりでは市場の管理など出来ないし、それが私情によって規制措置が常に講じられているようでは、取引所の信用も権威もあったものでない。

理事長にも大なる責任がある。理事長は、いつも阿波座実力者たちに無視されている。

協会長また大なる玉の思惑に熱中するあまり業界の指導的立場がとれていない。

つくづくと中井幸太郎氏が言った。『大阪穀取に中井さんがいないと駄目だな―』と。

その通りである。

常務理事は丸上問題でセデスやノーシンばかり飲まなければならないし、専務理事は、おつむばかり光って小回りが利かない。

ゲシュタポS・S親衛隊長は、東京のS・S元帥にストップ安四発必至だ叩き売れ―と自分の陰謀術策絶対と見て、売らせたが天は邪悪に味方せず逆に大暴騰して踏まざるを得なかった。

今、業界でもっぱらの評判である〝阿波座のインチキ劇〟の真相はいずれ大書しなければならないが、それにしても上げてみたり下げてみたり証拠金や建て玉規制はズロースやパンツじゃあるまいし、現職の市場管理委員長や協会長や理事長は、シャンと腰をのばしてシッカリせいと世論はとみに厳しくなりつつある。

さて相場は、小豆は大下げしたから、かなりきつく反騰するだろう。
手亡は馬鹿げた高値はまた売られる。

●編集部注
総理は財界のちょうちん持ちで男妾である―。

時の内閣総理大臣佐藤栄作に対して、予算委員会の席でバッサリ切り捨てた参議院議員がいた。

青島幸男である。この発言、実は昭和四六年三月の出来事であった。

パンツやズロースの上げ下げやゲシュタポという表現は、当時はおろか今でも充分に過激だが、この文章の半年前に「男妾発言」があった事を考えると、書く側も、読む側も、平成二五年に置き換えてみると「半沢直樹」的な空気が漂っていたのではないかと思う。

このドラマで主人公は倍返しに成功したが、果たしてこの時、風林火山は、倍返しに成功したのであろうか。

ドラマでの悪役は見るからに倒し甲斐があった。現実世界は暖簾に腕押しであったのか。その歯痒さを行間から感じ取る。

【昭和四六年九月二三日小豆二月限大阪一万八八〇〇円・五四〇円安/東京一万八八七〇円・五五〇円安】