昭和の風林史(昭和四六年九月八日掲載分)

未だ天井せず 新規買いもよし

この小豆相場は、とんでもないスケールである。押したところは、すかさず買うしかない。

「高梁や乳房持ちたる石仏 緑童」

水準が異常に高いため波動もそれだけ大幅になってくるのは仕方がない。そのたびにチャブついていたら、結局ふらふらにされる。

さて、ここで考えかたを整理してみよう。

①小豆の作柄指数は50~69%。

この先、これよりさらに悪くなる可能性はある。降霜。凍結。降雪。病虫害―など。

その時、そのニュースで相場は暴騰するか、反落するか。

相場には、知ったらしまいということもある。いわば材料出尽くしである。

取り組みがベタに買われていたなら、前記材料によるショック・ニュースでもそれほど高くはなるまい。

だが、八千円前後を、かなり売り込んでいる。

安売りの売り玉(五千円以下)は一発材料出現で当然踏んでくるだろう。

小豆の売り方には、もうお金がない。

北海道の冷え込みは、いよいよ厳しくなるようだ。

②これ以上高値をつければ上値を制限するのではないか、という考え方があって、ここから売って引き下がれても、しれているという考え方はどうだろう。

なお高ければ、その騰げかたにもよるが増し証は必至である。ここにきての増し証は売り方として、たまったものではない。

ところで、上値制限の問題であるが、現物が二万円しているのなら、定期市場が二万円しても、なんら非難される理由はない。

取引所当局者も小豆の市場を自らの手で潰すような行為はしない。

③売っている人も、買っている人も、あらゆることを考え、いろいろと迷ったり、気にしたりするところである。

市場における心理状態はどうなっているだろうか。

安いところを売った人。両建てにして、買いを利食いしている。だから安値の売り玉が残っている。

買っていて、利食いしてドテン売った人もある。

新規に買う人は、案外少ないし、薄氷を踏む思いだから利食いが早い。

さて、相場はどうなるのだろう。

チャブつくところでもある。

難かしい。判らない。迷う。怖い。

だが、作況指数が50を割って40とか35となる可能性が非常に濃いことだけは判然としている。

深く押したところは成り行き買いであることも厳然としている。

●編集部注
 未曾有の大相場は、恐らく来週号あたりからの掲載になる。今週はその前夜における、買い方、売り方双方の、投資家心理の揺れ動きに注目。

【昭和四六年九月七日小豆二月限大阪二〇円高/東京五〇円高】