昭和の風林史(昭和四六年九月十一日掲載分)

霜は軍営に満つ 長蛇逸する勿れ

霜は軍営に満ち秋気清ということになろう。相場は買い方針。S高連発時間の問題。

「きちきちといわねばとべぬあはれなり 風生」

雑穀での懇談会の発表数字は、信憑性が薄いと相場が言っている。それより、やはり十五日前後の冷え込みと、二十二、三日ごろ来襲するであろう非常に厳しい冷え込み(凍結予報)で、むしろ相場は、一発夜放れ暴発のほうを気にしている。

さて、市場であるが現況は左の通り。

①上値規制(解け合い)は、なんとしても避ける空気。20日の全国穀取運営協議会で増し証などが検討されようが、業界全体の意思は市場を存続させるよう努力がなされている。

②山梨商事の霜村氏は非常に強い見方をして入る。積極買い方針。

③山大商事の杉山元帥は先限をあくまでも売り上がっていく方針。霜村・杉山両氏の見解は極端に対立している。

④丸五商事の伊藤氏は一万六千円どころで売りを踏んでドテン買いになる。

⑤山三商会の桜井氏は杉山氏同様に弱い。従って阿波座筋も弱い。

⑥栗田氏は一万八千円どころから米常、明治でドテン買いにまわる。大石での板垣氏は依然強く北海道明治の鈴木樹社長も強気不変。

⑦太平洋の大手は利食い後再び買い方針。

⑧岡地の近藤紡の十月限売りは東穀市場管理委員会も主務省も岡地自身も困惑している。今なら山梨も解け合ってよいだけの玉を有するが(霜村氏は十月限に買い玉持たず、同店大手顧客M氏の同意を得ているのだろうが)、山梨が利食いしたあと近藤紡が踏むとなると大変な高値が出かねないが、近藤紡は岡地中道氏の依頼にもかかわらず只今は踏む気がない。

さて相場であるが山大の杉山元帥は、ストップ高があればあったで千枚で二千枚でも売っていく方針。将軍まさに軍刀を抜いての構え。

だが、冷え込みは急であるし降霜、凍結は必至の情勢。

この相場、結局は新穀の一万九千円抜けがなければ大天井は打つまい。

ストップ二発で天井するか、ジリ高で最後にS高・S安・S高という超高値でW波乱の天井となるか。今はただ買うのみ。

●編集部註
これより、小豆は吹き上げ相場となっていく。

話は変わるが先週26日、東京で投資日報フェスティバルを開催。最後に登壇した弊社代表取締役、鏑木高明は、ある銘柄の相場波動を解説していた。

「第4波動での揉み合いから上抜け、第5波動へと向かう線形は、商品相場によく出現する―」。

カウントは異なるが、この時の小豆の線形はその典型例。今週は、隣の日足にご注目戴きたい。

【昭和四六年九月十日小豆二月限大阪四五〇円高/東京四三〇円高】