昭和の風林史(昭和四六年九月十二日掲載分)

まだ買える!! 降霜凍結は必至

まだ大天井打ちの兆候は見られない。押せば買いだ。今来週にSS二連発も予測出来る。

「秋草やすがり得ざりし人の情 登四郎」

台風26号の進路と、その速度をにらみながら、通り過ぎたあとの冷めたい高気圧の流れ込みを、大きな天気図の上で検討しながら、相場は新値、新値と買われる。

降霜と、あるいは凍結は、およそ絶対であろうという予想である。

一応の見るところ作柄は六分作である。そして予測される降霜によっては三分作にもなりかねない。

大正二年の大冷害では北海道小豆は反当たり八升であった。今のところ本年の大冷害は必至の情勢である。

さて、相場のほうは手をのばせば新穀全限九千円である。

九千円指値の間にのぞんでの市場人気は、①とてもこんなところえでは買えない②売り上がっても二万円までであろうから③押したら買いたい―というところで、警戒心が強いから利食い足も早い。

それで、降霜一発ならば九千円抜けは必至であるがどのあたりまで行くのだろうか?

筆者は、八千九百二十円という値段に大きな節(ふし)のあることを測定しているが、九千七百十円。二万五百三十円というところにも節があって、どこでこの相場の大天井が付くか、今のところ検討がつかない。

ただ、相場が大天井を打てば、大天井を確認してから弱気するのは遅くないし、それが仮りに二千丁、三千丁下げをしても冷害凶作ならば、再びその下げ幅の八割戻しの二番天井があるはずで、激しいという動きを取るのは、まさに投機の醍醐味といえよう。

今言えることは、値ごろ観で弱気しては駄目だということである。

どこで天井するか判らないが、①ストップ高②売り方総踏み③買い方利食い④出来高増⑤取り組み急減―という現象を注意すべきであろうし、二発連続のS高になるかもしれない。

水準が開所来の高値にあるだけに、ストップ安がないとは言えないが、そういうS高、S安、S高という現象や、SS二連発などという場面は、天井の兆候と見て充分警戒すべきである。

要は、自分で勝手に相場を頭の中でつくらないことである。

【昭和四六年九月十一日小豆二月限大阪二二〇円高/東京三一〇円高】