急所の売り場 買い方総攻撃を
売り方に信念がある。この相場必ず大崩れする。七分作が怖くて定期が売れるかいというところ。
「二三日採らねば胡瓜遠目にも 黄枝」
作柄が悪いことぐらい百も承知で売り方は相場を弱気している。買い方にすれば無いもの売る奴が悪いと言うだろうが、先物相場で、この論法は通用しない。無いものが売れるのが定期市場の特色である。その論法で言うなら買い方だって現物欲しくて買っているわけじゃない。要は値ザヤが欲しいだけで、現物受けたり缶詰めにしたりするのは、単にその道中におけるテクニックである。しょせんは値ザヤ狙いで、いうなら無いもの売るのも相場屋なら、買い方だって単なる相場屋に過ぎん。
七分作や台風が怖くて小豆が売れるかい―というのが今の売り方である。
相場屋には相場屋の考え方がある。
スペキュレーター(投機師)とはそういうものだ。
売り方にだって充分産地の畠の遅れていることぐらい情報を掴んでいる。弱気する側にすれば、およそ次のようにこの相場を見ている。
①先三本の六千円乗せは絶好の売り場になる。
②なお高ければ売り上がる方針。
③中共小豆が現実に入荷して市中を圧迫する。
④作柄悪、すなわち七分作は買いきった相場だ。
⑤高値に買い方の玉が大量にモタれている。
⑥買い方は現物まで抱いて戦線がひろがりすぎている。定期の勝負は定期で解決するのが本筋であるが現物まで操作しなければならないことは、それだけ敗色が濃いからだ。
⑦高水準のため消費不振は、やむを得ない。
⑧人気の離散(前三本)している相場は仕手のひとり相撲である。
⑨買い方だって高値では逃げたい腹である。
しかも日柄を経過し規制は強化するし、相場は無理を重ねている。
産地天候も回復気味で台風接近という心配材料があるにはあるが、それをひっかけて買い煽っても単なる一発花火高にすぎない。
中共の夏作物の大豊作。雑豆の自由化という材料もあるし、売り方大手にしても腹を据えた勝負だけに、そう簡単には言うことをきくまい。
この相場は必ず大崩れするという信念を持つものだ。
●編集部注
来週20日号掲載の原稿を読みながら、筆者はこの文章を書いている。
近藤雅世さんのコモアイレポートもお盆休みに入るので、代わりにNLP(神経言語プログラミング)心理学を相場手法に取り入れた事で知られるエクセレントホースの村居さんに執筆を依頼。その原稿が届いたのだ。
テーマは「潜在意識によって引き起こされる売買の悪癖」について。
信念は、時として諸刃の剣と化す―。村居さんは、常日頃からセミナー等で訴えておられる。
【昭和四六年八月四日小豆一月限大阪三九〇円高/東京四六〇円高】