昭和の風林史(昭和四六年十一月九日掲載分)

買い方針継続 すでに底値確認

交易会旋風も通り過ぎた。規制が著しく緩和された小豆相場に人気が集まるのも遠くない。買い方針。

「はや冬に入りし芒のそよぎかな 万太郎」

全商連の東部地区セミナーも快晴に恵まれたが、月曜(八日)から始まる西部地区の琵琶湖、湖畔のセミナーも爽快な晴れである。

筆者はこの原稿を書いたら博康先生の大きな車に便乗させてもらって、意義のある全商連西部地区のセミナーに出席する。

第一日は一時から夜の九時までだ。東部の時も出席者全員真剣であった。名古屋以西の各取引所を主軸に取引員トップ経営者百十数名の多数参加は、東部地区のそれをも上回る熱気に包まれることであろう。

さて相場のほうであるが、そういうわけでここ両日相場を見ておるわけにいかず以下代筆してもらうことにした。大局的方針は今までと変化するものではない。

今週の焦点はやはり何といっても広州交易会の模様である。小豆商談は第二次で打ち切り―ということになれば、これは大きな刺激となる。

相場は下げ過ぎの反動も兼ねて一万七千円(先限)から、三分の一戻しの地点七千五、六百円もなしとはしない。

そううまく強気の思惑通りに事態が進展するかどうかは別としても、輸入商社も外割りのほとんどを使い果たした関係もあり、また相手側(中国)も契約がたちまち日本の市場に響くことも考慮するところであろう。

第三次商談が行なわれようとも、量的には多くは望めないということである。

相場の方は安値からだと相当の戻り幅である。各市場とも先限で「千円棒」を配すのもそう遠くはないはずだ。
ただ商いも薄く実感としてピーンとこないが、小豆規制も著しく緩和された。〝凶作〟に続いて〝交易会旋風〟が吹き抜け、売り方も買い方もくたくたにそれは体の芯まで疲れた様子である。

しかし、業者としてはそうはいっておれない活発な営業活動を行なう必要に迫られている。これから年末にかけてはかなり変化に富んだ、妙味ある動きを繰り広げよう。

大手亡も上げ賛成ムードが充満している感じだ。

●編集部註

ふと思う。この時テクニカルはあったのかと。

当然あった。一目山人が記した「一目均衡表」が本として世に出たのが昭和四四年。続編がこの年の八月に出ているが、手法自体は戦前のものだ。

高等数学を用いた指標はまだ一般化していない。 ノーベル経済学賞を受賞した「ブラックショールズ方程式」が発表されたのが昭和四八年。ソロスがクォンタムファンドの前身を設立したのが一目初版と同じ昭和四四年。

この時期、金融工学の蕾が開き始めたといえる。

【昭和四六年十一月八日小豆四月限大阪五二〇円高/東京五一〇円高】