昭和の風林史(昭和四六年十一月十三日掲載分)

線型実に重い 五千円割れ予測

小豆の期近二本は値を維持しても先二本は、どんどん重くなって来年もの限月が悪い姿。

「家ふかくさし入る日あり茶も咲けり 秋櫻子」

さて相場のほうはどうなんだろう。

ここに来て再び弱い材料が続出する。台湾、韓国産小豆の輸入増、下期雑豆外割り増額(八百万㌦から千百万㌦予想。小豆は従って四百万㌦から五百五十万㌦)。五等検設定により十二月の農務省収穫発表数字の七十万俵予想―など、どう見ても買い方強気に味方しない現象ばかりである。

どうしても来年になれば輸入ラッシュで、供給面は一度にゆるんでしまう。

三、四月限が反発して七千円に乗せきれなかったのを見ても相場の足は重たいことを痛感する。

期近二本は年末需要と品不足気味(北海道産新小豆の出回り遅れ)だが、先二本の三、四月限は春の需要期とはいえ、中共小豆の輸入がウズを巻く時期である。

当然一、二月限の不需要期限月は、先二本に足を引っ張られるわけだ。

売り方弱気の目標値段は先限で一万四千五百円で見当。当初目標値段の一万五千円が実現しての反発場面は絶好の売り場として狙われた。

線型から言えば、四月限で付けるか五月限で付けるかは別として、やはり一万四千七百円あたりは予測出来る格好だ。

高値の買い玉を抱いたままの買い方にすればなんとか反撃のチャンスを掴みたいし、少しでも買い玉を軽くしておきたい。

先行きの相場反騰の材料は、奇蹟的なことでもしない限り、まず一、二、三月限の九千円台は望めないだろう。

そうなってくると、どこかで投げ出すか、両建てして玉をくくってしまうかしか方法がない。

巧者筋は、もとより戻り売りの基本姿勢を崩していない。

考えてみれば、あれだけ大きな相場をしたのであるから、山高ければ谷深し。一万四千円台があっても不思議ではない。

北海道の凶作が、一転して輸入ラッシュという大変な刺激を与えてしまって供給不安転じて輸入圧迫となる。

ただ救われるのは、買い方が相場の上で損をしても、穀物相場が存続するという、このことは、大損を先に行って、いつかは取り戻す可能性が残っているということになるのである。

●編集部注

 「山高ければ谷深し」という。しかし、それがどんな山で、どんな谷なのかは誰も知らない。

 同じような相場山脈や、相場渓谷を進んだ経験はあるかも知れない。しかし、微妙に違う。

 経験則から軽く見て、遭難するのは良くある話。

【昭和四六年十一月十二日小豆四月限大阪一万六二九〇円・三〇〇円安/東京一万六四〇〇円・二八〇円安】