一両日要注意 重要な〝フシ〟へ
東京市場で山梨買いが目につく。下げ一途の相場も大きな〝フシ〟にぶち当たったのかも知れぬ。
十七日の引け際にかけての急落はどう考えても解せない。まことしやかに韓国産小豆の入港や、台湾小豆の安値(一部で㌧当たり三百三十㌦)成約が言われたりする。
だがはたしてそうだろうか。三百三十㌦といえば円換算一万円以下のものである。定期水準に直すと一万二千円台のものだ。
なるほど輸入筋が伝えるところでは、ことしの台湾産は作付け増の上に豊作でこのため一万㌧の輸出余力があるという。
交易会で中国に先を越された台湾としては、少々値下げしてでも…という気になることは察知できるが、四百㌦以上の高値を突っ張っていたものを、一挙に三百三十㌦で安売りしてくるだろうか。
真偽はともかく〝ためにする〟デマ情報、根も葉もない噂というものは波乱相場にはつきものである。充分に心したい。
一方、韓国小豆の入港だが、量的にはとるに足りぬもので問題にするほどでもない。
しかし新安値をつけることによる人気、取り組みの変化―という事実だけは見逃せない。〝新安値〟―動揺を誘うに充分な響きである。
因果な玉を抱いて辛抱に辛抱をかさねている人でも遂に投げてしまうのも、往々こういう時で、逆にこうした心理を見越して意識的に〝利食い場〟を作ったりあるいは〝ふるい落とし〟を行なう巧妙な手口もしばしばみられるものだ。
相場の方は前日の下げ幅を埋めるに充分な反発である。
下げたことにより相場に〝はずみ〟がついたのか、いやそれだけではあるまい。久しぶりに商いが伴っての上伸である。目についた手口といえば、東京市場における山梨買いである。
前場一節で一~四月限を二百余枚、二節でもほぼ同数の買いの手を振っている。
只事でない熱の入れようだ。機をみるに敏な同社のこと、相場付きの変化をいち早く見抜いたのか、はたまた人の知らざる強材料が掌中にあるのか、それとも年間需給など総合判断に立っての買い進みか―その辺のところは判然としないが、いずれにしろ、山大と呼吸を合わせてのものだけに、他市場にも少なからず影響を及ぼしそうだ。
相場は重要な〝フシ〟に差し掛かっているのかも知れぬ。
●編集部注
昭和四六年十一月中旬の日足を見ると、大きなマドが二つ見てとれる。
マドは通常、埋まれば目先の流れを変える。その一方で、跨ぐようにまたマドを空けて反転すると、そこは大天井や大底の時間帯と成りやすい。
同年十月初旬の、大陰線などがその好例である。
【昭和四六年十一月十八日小豆四月限大阪五九〇円高/東京六一〇円高】