年内逆張りか 下値は深くない
見送り修正。年内の相場は大底圏内での逆張りと見る。大きな下値もないし、上値も期待薄。
「銭湯のさら湯ひとりに年の暮れ 柳芽」
66万五千俵という数字に対して18日の小豆相場は、もう一ツぼんやりとした受け取り方であった。
筆者はこう思った。
買い方は、またしばらく苦しい戦いをしなければならない―と。
五等検(くず豆)含みの66万五千俵ということは大納言を差し引いて、商品化率75%とすれば、(年内27万~30万俵出荷)産地供給余力は十万ないし十五万俵という数字になる。
すでに産地は端境期同様の状態である。
なのに相場は冴えなかった。
輸入圧迫感が強いのだ。
それと叩き屋の叩きが現在、いうことをきく環境であることも見逃せぬ。
ここで冷静に相場を見てみよう。
売り方は先三本の売りに関する限り空(カラ)売りである。しかも安値を叩いている。
買い方は制限枚数一枚まで買って規制緩和を一日千秋の思いで待つ。
売り方も意地になっているし、買い方も根性まる出しの格好だ。
大衆は参加していない。せいぜい半クロウトまでである。しかし取り組みは太りだした。それは売り方、買い方、一歩も引かない気構えであることを示す。
相場はどうか。目先重たい。66万五千俵を機に一発火柱を立て、売り方を心理的にも同様させるところが欲しかった。
と言って、先日の安値一万四千四百九十円(大阪)を大きく割り込んでいく下値も、この相場にはない。
買い方は、まだしばらく苦しい戦いを続けなければならないが、66万五千俵という数字は、将来買い方にも楽しみを持たせるものだけに、〝66・5〟をもとに新しく絵も書けようし、戦略も建てられる。
しかも明春から建て玉制限も大幅に緩和される。
筆者は見通しを修正して、年内の相場を大底圏内での逆張りと見る。大勢は強気。
●編集部注
振り返ると、これは一種の官製相場であったのかもしれない。
高ければ消費者が困るし、安ければ生産者が困る。
さて、監督官庁、更にその上の人物は、どちらの味方であったのか。
小豆相場を舞台にした経済小説「赤いダイヤ」は、主人公が買い方で、敵役が売り方であった。
主人公を救う相場師は苦境に喘いでいた生産者達を救うべく、買い参入したのが小豆相場を始めたきっかけであった。
今も超有名な高級和菓子屋と思しき人物も登場する。此方は売り方の一味で、政治家や取引所の要人と結託している。
【昭和四六年十二月十八日小豆五月限大阪一〇円安/東京九〇円高】