昭和の風林史(昭和四六年十二月十七日掲載分)

ぶっ飛ぶ相場 赤い尾を引いて

大底確認の小豆だ。赤い尾を引いて陽線はぶっ飛ぶだろう。期近の二千円高。先限千五百円高へ。

「河豚の友そむきそむきとなりにけり 鬼城」

相場というものは不思議なもので、底がはいると勝手に反発し、そして高くなる。誰が売ろうと、どんなに悪い材料が出ようと、底した相場は下がらない。

さしもの相場も、下げすぎた感じでカチーンと底入れしたかに見える。買い方が買おうと、買うまいと、こうなれば自然の力で反騰するものだ。

大阪から、高場の東京にトラック輸送で小豆が移動していた。名神を東名を、小豆を満載した大型トラックがうなりをたててぶっ飛ばす。

それにしても実によく売った。

当限で三千百五十円下げ。

先限で千六百八十円。

ストップ込みの投げと、新規売りで、買い方は頭を抱えこんでしまったがそれだけに反動もきつい。問題はきょう発表される農林省の数字であるが、当初の予想通り少ない数字なら、もとよりストップ高である。

線型は二、三月限など綺麗な〝捨て子〟で、これを踏んまえて陽線を立てれば年間の大底確認となるはずだ。

東京四月限など、四千九百円で強力な抵抗帯が出来、五月限にしても四千八百十円は、六千円を抜いてこなければ割ることの出来ない大底となっている。

人々は、かなりの強気筋でも、今回の暴落では迷いを深めた。しかし相場は完全な押し目買いになっている。

すべての軟材料は織り込んだ。そして下げの日柄と、下げ幅とによって玉整理は進み、あく抜けとなった。

こうなってくるとケイ線も判りやすいが、相場そのものも非常に判りやすいものになる。

恐らく先限の六千円相場は実現することであろう。

弱気が支配している今の市場では、当限納会の受け手を不安視しているが、相場つきさえ変わればどこからともなく受けの手は出てくるものだ。人気が受ける。人気で受ける。それが相場というものだ。

目下、安納会必至と見られている大阪市場の当限を、納会でキリキリ舞いの七千円大台に引っ張り上げることぐらい、やってやれないことはない。さすれば場面は一瞬にして大納会まで赤線引いてぶっ飛ぶだろう。

●編集部注
 昭和四六年の大納会は十二月二八日。月の取引は折り返し地点に入る。

 この時の状況を今に置き換えると、FOMCでQEを縮小するのかしないのか、するとすれば、どれくらいの規模か。

 そんな分岐点が同年十二月十七日にやって来ると考えると判りやすい。

【昭和四六年十二月十六日小豆五月限大阪三六〇円高/東京一九〇円高】