昭和の風林史(昭和四六年十二月十四日掲載分)

総反撃は近い その時はS高だ

叩くだけ叩いた後は強烈な反騰となる。火を噴く場面が近いように思う。買い方針。

「湯豆腐に荒きしたしき言葉飛ぶ 笛夫」

年末の相場は、これだから怖い。年内の輸入が間に合うということで買い方は袈裟に斬って捨てられた。

「この期に及んで〝チトップ安〟とは恐れ入って手も出ない」という顔つき。

だが、先限は期近の〝チトップ安〟とは別の相場で、下値にとどいていることを示している。

期近限月は、かなりの投げ物が見られた。そして夏の恨みが尾を引いている売り方は、ここを三度とばかり泥靴で踏みにじる。買い方は、さぞ腹の中で、にえくり返る忿懣(ふんまん)を耐え忍んでいることであろう。

だが、売り方に腹を立ててみてもしようがない。それが相場だから、売り方が悪いのでもなければ相場が悪いのでもない。

勝たなければ駄目なんだ。

負け犬は尻っぽを巻いて遠吠えするしかない。

しかし、まだ相場はこれからが勝負どころだ。

この下げで、再び遺恨がからみついた小豆である。

どこかで、買い方の総反撃があるだろう。

その恨みを爆発させる時が必ずやってくる。

恐らくその時は、もとよりストップ高だ。

業界の空気では五限六限あたりから規制を緩和する傾向にある。

証拠金を下げ建て玉制限をゆるめる。先限を叩けないのも、そういうところにあるようだ。

それと17日の農林省の数字発表である。少なくとも15日の後場が16日には早耳で相場がなんらかの表示をするだろう。

土曜、月曜の相場でかなりの投げが出た。出来高も急増した。

弱気筋は一万三千五百円と、目標値を、もう千丁下に下げて売り叩く。

だが、相場はコツンとした。いや、カチーンと音がした。

期近限月が、あれだけ売り叩かれ、S安しているのに先二本は別の相場をしたという事実こそ、見逃すことのできない貴重な現象である。

筆者は、今の相場は下げすぎだ―と、はっきり言える。下げすぎの相場の反動は非常にきつい。

反動のエネルギーは①整理完了②売り込み③悪材料織り込みである。
そして農林省発表数字は五分と五分としておこう。これは投機である。投機には危険がつきまとう。

●編集部注
 チトップ安ってなに?聞くべき人はもういない。買い方は冥府魔道へ進む。
 「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 万太郎」

【昭和四六年十二月十三日小豆五月限大阪二四〇円安/東京一八〇円安】