昭和の風林史(昭和四六年十月二十九日掲載分)

必ず反騰せん それも近い将来

各地の急落納会に惑わされぬことだ。侮ったり甘くみるのは危険。強気の巻き返しが必ずあろう。

「貧しさの果もなかりし蓼の花 楸邨」

温泉街のストリップ小屋でレズビアン・ストリップを見ていたお客が、大きな声で『真面目にやれ!!』とどなっていた。

観客はプーと一様に吹き出していた。

筆者も真面目に原稿を書かないと、どなられるかもしれない。

東繊取の取引員協会の寺岡仁一郎常務理事はニューギニアのプルプルの話になると、きわめて真面目な顔つきになる。プルプルとは土人の言葉で、未開地の土人の言葉はすべて音からきているもので、プルプルもその典型的なものだそうだ。

なんで筆者は、そのようなことを思い出したのか、きっと真面目という字をかいているうちに寺岡仁一郎氏がプルプルのの話をしている時の顔を思い出したからであろう。

さて、相場であるが十月限が落ちて何か気が抜けたように、張りつめたものがない。

十月の納会模様も今さらクドクド必要もあるまい。要は渡すべきところが渡した。それも韓国小豆とか道産新穀、はては青森産までかき集めたことで、当初予想を上回ったということである。

それと、買い方が時節柄(規制緩和の機運がある折から)も考慮して最小限の受けにとどめた―というところか。

全市場合わせての受け渡し合計八百五十七枚(三万四千二百八十俵)は凶作、品薄が言われるにしては、多いといえばいえる。が、早くから波乱限月といわれ長い準備期間があったにしては、この程度しか集められなかったのか―とも言える。

見渡したところ納会を境にして、人気は一層の冷え込みが感じられる。各地の急落納会のショックかそれとも交易会における大量契約の危惧か、またまた二万円相場で大天井を打ったという値ごろ感か。

いずれにしろ理解に苦しむ人気の弱さである。恐らく、そういった考え方の背景に流れるものに、統制をやや欠いた買い方陣に対する侮りがあるはずだ。

しかし、甘く見てはいけない。一万七千五百円に一線を引き、それ以下は買い下がろうと待ち構えている投機家は数多い。
いったん風向きが変わればたちまち、一糸乱れぬ行動に移り、安易な安値売り込み玉の〝撲滅〟を図るに違いない。
その機をひたすら待っている姿である。

●編集部注
 ツキを呼ぶには笑顔を見せる事と、何かの唄にあるが、この時ピンチの風林火山、ツキよ来いとピンクを見せている。

【昭和四六年十月二八日小豆三月限大阪一五〇円高/東京一〇〇円安】